高校生ドラフト最終チェック。
18UW杯で輝いた「甲子園不出場組」 (3ページ目)
そしてW杯を全試合視察した北海道日本ハムの大渕隆スカウトディレクターは松井について、次のように語る。
「今年の春にカーブやチェンジアップを習得し、スライダー以外の球種が増えたことで制球が安定した。確かに今回のW杯では、1年前のようにボール球が多く、アバウトなピッチングも見受けられましたが、それで評価を落とすことはない。松井投手の場合、持って生まれた素材に加え、あれだけ注目を集める中でも、自らを計画的に成長に導いていくことができる。もちろん、周囲の方々のサポートがあってこそでしょうが、野球に対する取り組み方が素晴らしい」
また永山氏も松井をこう評価する。
「立ち上がりに不安はありますが、ストレートの力強さ、スライダーのキレは抜群です。闘争心あふれるピッチングも彼の持ち味」
今年の高校日本代表は、松井に限らず甲子園不出場組の活躍が目立った。チーム発足当初、7番を打っていた渡辺諒は、大会日程が進むにつれて打順を上げていき、決勝では5番を任された。
「初めて対戦する投手でも、初球から打ちに行って変化球をとらえる力がある。一言で表現するなら対応力ということなんでしょうが、とにかく実戦力の高さが目を見張ります」(大渕氏)
2ラウンド初戦の韓国戦では、5回の一死2塁および6回の無死1、2塁というチャンスで適時打を放ち、いずれも送球間に2塁へ進塁した。渡辺のバッティングと走力にはメジャースカウトも「エクセレント!」の声を挙げ、2本の指を立てて「2打席連続だろ!」と驚愕していた。大きな一発はなくとも、状況に応じたチームバッティングができる点も渡辺の大きな魅力だ。
瀬戸内の山岡泰輔と広島大会決勝で投げ合い、0−0のまま延長再試合を投げ抜いた田口麗斗(広島新庄)も、甲子園不出場組だった。身長は170センチほどだが、140キロ台中盤のストレートと、スライダーを武器に、3試合に登板した。
「身長が低いですが、ヤクルト・石川雅規選手のチェンジアップのように、彼ならではの武器をものにできれば、プロでやっていける可能性はある」(永山氏)
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