高校生ドラフト最終チェック。18UW杯で輝いた「甲子園不出場組」

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 荒川祐史●写真 photo by Arakawa Yuji

 台湾・台北市で開催された第26回IBAF 18Uワールドカップ(W杯)----。今回集められた高校日本代表は、今夏の甲子園で活躍した選手だけでなく、桐光学園の松井裕樹や東海大甲府の渡辺諒といった甲子園出場は果たせなかったが今秋のドラフトで上位指名が有力視されている選手たちも揃った。そのため、ネット裏には多くのスカウトたちが並び、彼らの戦いに熱い視線を向けていた。日本代表は決勝でアメリカに敗れ銀メダルに終わったが、スカウトたちの目に彼らはどう映ったのか?

決勝のマウンドを任された松井裕樹だったが、7回途中2失点でチームを勝利に導くことはできなかった決勝のマウンドを任された松井裕樹だったが、7回途中2失点でチームを勝利に導くことはできなかった

 ゲームセットの瞬間、ただひとり大粒の涙を流していたのが、大阪桐蔭の森友哉だった。この夏の甲子園では3回戦で敗れ、選手権2連覇の目標が潰(つい)えた時でさえ涙を見せなかった森だが、捕手として昨年大会に続くベストナインに選ばれ、高校日本代表の主軸として打点王(15打点)を獲得したとしても、募るのは悔恨の思いばかりだった。

「ただ悔しいです。単純に。去年あれだけ悔しい結果に終わって、今年はなんとしてでもアメリカにリベンジしたかった」

 大会名が世界選手権だった昨年は、アメリカ選手の悪質なタックルを二度も浴び、脳しんとうを起こして最終戦への出場はならず。チームも6位に終わった。雪辱を晴らすべく臨んだ2度目の国際大会で、決勝に進んだにもかかわらず、再びアメリカに敗れた。チームを束ねた主将の自尊心は、同じ相手に二度(2次ラウンドも含めれば三度)も敗れた現実を受け入れることができず、溢れる涙も抑えきれなかったのだ。

 森は、大阪桐蔭でも指導を受ける西谷浩一監督に「ほとんど褒められたことがありません」と言う。しかし、西谷監督は今大会の初戦から、森の成長と高校日本代表への貢献度に、賛辞を送った。

「森がうまくリードして、投手陣の特徴や良いところを引き出してくれました。打つ方でも、木製バットではなかなかロングが期待できないので、ボールに逆らわずにセンターから逆方向へ打つバッティングの手本を示してくれました」

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