【自転車】TeamUKYOのエースが語る「今の若手に言いたいこと」 (3ページ目)
一般に、日本国内の自転車ロードレースの競技水準は、ワールドツアーの本場である欧州と比較して数十年の遅れをとっている、と言われている。その実力差は、欧州でプロコンチネンタルチームに所属し、数々のレースに長年参戦してきた土井自身が身にしみて痛感してきたことだ。欧州のトップクラスの選手たちと肩を並べて競い合うため、ひたすら己を徹底的に追い込む努力を続け、その結果、自転車ロードレース界の頂点でしか味わうことのできない喜びも味わってきた――という自負が、土井にはある。
だからこそ、自分の経験してきたものを、可能性のある若い選手たちにも彼ら自身の手で獲得してほしい……という、強い願望と期待を抱いている。
「ロードレースって、1日に200キロほど走ることを、来る日も来る日も延々と続ける競技だから、精神的にも肉体的にも、すごく苛酷なスポーツだと思うんですよ。でも、今の日本の環境ではそんな苦労が報いられるだけの、プロフェッショナルと呼ばれるに相応しい報酬が確立していないというのも、厳しいけれども現実なんです。
たとえば、30歳になったときの年収で比較したら、同年代のサラリーマンと同程度の収入がある選手は、日本では本当にごく一部です。一般論で言えば、会社に勤めていたほうがよっぽど儲かるし、安定している。でも、今の若い選手たちには30歳になったときに、『こんなことなら自転車選手にならず、就職しておけばよかった……』とは思ってほしくない。
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