【自転車】TeamUKYOのエースが語る「今の若手に言いたいこと」
遥かなるツール・ド・フランス ~片山右京とTeamUKYOの挑戦~
【連載・第46回】
TeamUKYOに移籍して3年目――。31歳の土井雪広は今季、エースライダーとして若いチームを牽引する。ツール・ド・フランスやジロ・デ・イタリアと並び、「3大ツール」のひとつに数えられるブエルタ・ア・エスパーニャを日本人として初めて走った土井は、今の若手に対してどう思っているのか。
合宿地の沖縄で黙々とトレーニングに励む土井雪広 2015年のTeamUKYOは、31歳の土井雪広が名実ともにチームの司令塔として中心的役割を担う。昨年まで自らに課していた役割は、レース全体の状況を見ながら戦略を組み立て、集団の中で駆け引きを行ないつつ、エースライダーたちを勝負どころまで牽引していくアシストの役割だった。しかし今年は、「自分自身も積極的に勝ちを狙いに行く」と話す。
そのひとつとして、明確に目標を据えているのが、毎年初夏の6月ごろに行なわれる全日本選手権だ。
土井は2012年の全日本選手権で勝利を収め、「ナショナルチャンピオンジャージ」を手にしたその年の冬、TeamUKYOに加入した。各国のナショナル選手権で優勝を果たした選手は、次の年の大会まで、その国の国旗をあしらった特別なチャンピオンジャージを着用してレースに参戦する権利を持つ。ナショナルチャンピオンジャージを着ることができるのは各国1名と限られているため、国旗をあしらったジャージを着用している選手は、自転車ロードレースの世界では大きな敬意をもって待遇される。
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著者プロフィール
片山右京 (かたやま・うきょう)
1963年5月29日生まれ、神奈川県相模原市出身。1983年にFJ1600シリーズでレースデビューを果たし、1985年には全日本F3にステップアップ。1991年に全日本F3000シリーズチャンピオンとなる。その実績が認められて1992年、ラルースチームから日本人3人目のF1レギュラードライバーとして参戦。1993年にはティレルに移籍し、1994年の開幕戦ブラジルGPで5位に入賞して初ポイントを獲得。F1では1997年まで活動し、その後、ル・マン24時間耐久レースなどに参戦。一方、登山は幼いころから勤しんでおり、F1引退後はライフワークとして活動。キリマンジャロなど世界の名だたる山を登頂している。自転車はロードレースの選手として参加し始め、現在は自身の運営する「TeamUKYO」でチーム監督を務めている。