World Diabetes Day(世界糖尿病デー) 前田有紀が迫る、全員が1型糖尿病のサイクリングチームの挑戦 (5ページ目)
啓発活動とWorld Diabetes Day(世界糖尿病デー)の意義
前田 無知がスティグマを増長させてしまっているんですね。でもスペインでは社会が変わってきているというのは希望があります。薄井先生にお伺いしたいのですが、1型糖尿病がある方へのスティグマをなくすためには、どのような取り組みが必要だと考えていますか。
薄井 ダヴィ選手が言われたとおり、やはり誤解に基づくものがすごく多く、1型糖尿病のことを知らないが故に、間違った情報が広まってしまうことが多いと思います。今回のこの場もそうですし、市民公開講座、糖尿病週間などの活動をとおして、誤解を解いていくことがまずは大事なことだと考えています。
「World Diabetes Day(世界糖尿病デー)」についての意義を語り合った、(左から)前田有紀さんと薄井勲先生 photo by Ishikawa Takao前田 当事者以外の方が正しい知識を持つことが、本当に大切なんですね。改めてになりますが、11月14日は「World Diabetes Day(世界糖尿病デー)」です。ダヴィ選手は、このような日が設けられていることについて、糖尿病を持つひとりとして、どのような意義を感じますか。
ダヴィ このような日を設けることによって、多くの注目を集め、いい反響、悪い反響を含めて、さまざまなノイズが起こります。それこそがこの日の意義です。私は糖尿病を持つ子どもたちやその両親に対して、「いろんなスポーツを楽しむことができるんだよ、糖尿病を持たない人と同じように生活することができるんだよ」と伝えることができる。その意味で、私自身、本当に誇りに思う日であります。
「夢を諦めないで」
前田 ダヴィ選手のようなアスリートが、生き生きと世界で活躍することが、多くの方の励みになると実感しました。最後に競技における今後の目標と、1型糖尿病がある選手として、どんなことを世の中に発信していきたいと考えているのか、お聞かせください。
ダヴィ 今後もキャリアでの成功を目指しながら、人に勇気を与え、助けたいと思っています。また幸せな家族を持つことも人生の夢です。糖尿病があることが夢や目標を持つことの障がいにはなりません。同じ病気を持つ方々には、怖がらずに普通の生活を送ってほしいと願っています。"Keep your dream." 糖尿病だからという理由で夢を諦めないでほしいです。自分の好きなことを続けてほしいと心から思っています。
前田 ダヴィ選手、今後の活躍も応援しています。また薄井先生も貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。
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