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World Diabetes Day(世界糖尿病デー) 前田有紀が迫る、全員が1型糖尿病のサイクリングチームの挑戦 (4ページ目)

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誤解に基づく「スティグマ」の現実

前田 11月14日(木)は「World Diabetes Day(世界糖尿病デー)」ですが、どのような日なのでしょうか。

薄井 国連は2006年12月20日に「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議」を国連総会で採択しました。同時に11月14日を「World Diabetes Day(世界糖尿病デー)」に指定し、世界各地で糖尿病の予防、治療、療養を喚起する啓発運動を推進することを呼びかけました。

 日本では、11月14日を含む1週間、月曜日から日曜日までを「全国糖尿病週間」としています。この期間には、各地でさまざまなイベントが実施されています。東京都では東京都庁や東京ゲートブリッジなどのブルーライトアップ、私の住む栃木県では獨協医科大学病院、栃木県庁、足利学校をはじめ、各地でブルーライトアップを行なうほか、病院やショッピングセンターなどで啓発イベントを開催したりしています。
1型糖尿病への関心の高い、元アナウンサーの前田有紀さん  photo by Ishikawa Takao1型糖尿病への関心の高い、元アナウンサーの前田有紀さん  photo by Ishikawa Takao前田 1型糖尿病を持つ方への差別や偏見があると伺っていますが、具体的にどういったことでしょうか。

薄井 1型糖尿病は、小児期より発症することが多いので、学校生活やライフイベントで不利益を受けている方がいることが知られています。例えば、学校での不利益として、いじめや教職員からの差別があります。私の患者さんのなかには、学校で注射を打っていることをからかわれたり、インスリンポンブを隠されてしまったりしたという報告を受けています。またインスリンポンプを使っている子どもの対応について、学校側が「うちでは低血糖の時に対応ができないから入学は困ります」と言われたとも聞いています。

 それから恋愛や結婚での不利益、お付き合いを拒否されるとか、親に結婚を反対されるということもあります。また就職や昇進においても不利益があったり、生命保険に入れない、住宅ローンを断られるというケースがあったことも知られています。

 最近はこのような偏見や不利益のことを「スティグマ」と呼んでいます。1型糖尿病ばかりでなく、多くの病気にスティグマの問題があることが知られていて、関係者がその対策、解消に向けて、多くの努力を払っているところです。

前田 今、薄井先生からスティグマの話をお伺いしましたが、ダヴィ選手はこれまで糖尿病があることで、周囲からネガティブな反応をされたことはありますか。

ダヴィ 私にとって「ネガティブ」という言葉以上の問題でした。糖尿病について知らない人が多く、それ故に、私は経験するべきではない痛みを何度もしてきました。スペインでは以前、糖尿病を持っていると、一部の職種、たとえば警察官になることはできなかったんですが、今では社会の意識が変化して、どんどん受け入れるようになってきていると感じています。

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