World Diabetes Day(世界糖尿病デー) 前田有紀が迫る、全員が1型糖尿病のサイクリングチームの挑戦 (3ページ目)
自転車競技がもたらすやりがい
前田 そして今年10月には「2024宇都宮ジャパンカップサイクルロードレース」に出場されました。この大会には2014年から出場し、数々の実績を残してきました。このジャパンカップには、どのような思い出がありますか。
ダヴィ この時期の日本は、サイクリングシーズンということもあって、ベストな環境です。ジャパンカップには2014年から何度も出場していますが、シーズン最後のレースであり、その年を締めくくるには最適なレースだと思っています。日本のファンの方もとても温かいですし、ノボ ノルディスクからのサポートも得ることができていますので、私にとっては特別な大会です。
前田 今大会も見事な走りを見せてくれました。レースを振り返ってみていかがでしたか。
ダヴィ 応援してくれる人たち全員の期待に応えたいと思って走りました。しかし、重要な局面で他の選手とぶつかりそうになり、道路の外に飛び出してしまいました。それがレースの最後まで響いてしまったことが残念です。でも糖尿病のコミュニティのアンバサダーとしてレースに出場できたことは意味のあることだと応援してくれた人の表情から読み取ることができました。シーズンを締めくくるのにいい試合だったと思います。
世界を舞台に活躍するトッププロ、ダヴィ・ロサーノ選手(左)
前田 チーム ノボ ノルディスク "ならでは"の魅力や強みを教えてください。
ダヴィ チーム ノボ ノルディスクは本当にユニークな存在だと思っています。全員が1型糖尿病を持っていることで、結果に関係なく、何らかの形で注目されていると感じています。また我々は1型糖尿病を持っているお子さんやその両親に希望を与えられる存在だと思っています。何度もお子さんや両親が目を輝かせて喜んでくれるシーンを見たことがあります。そんな姿を見られるのも、このチームに所属している醍醐味なのかなと思います。
前田 自転車競技にはどんな魅力があるのでしょうか。
ダヴィ 自転車に乗れば毎日違う景色を見ることができますし、いろんなところに旅をすることができます。またそこでいろんな人に出会うこともできます。そして我々が人々を励ますこともできます。毎日が新しいので退屈することはありませんし、やりがいを感じています。
前田 薄井先生は、これまで何度もチーム ノボ ノルディスクの選手の講演を聴講されていますが、彼らの活動をどのようにご覧になってきましたか。
薄井 以前からチーム ノボ ノルディスクの存在は知っていましたので、1型糖尿病を持つ方と選手が直接交流する場を持てないかと思い、チームのみなさんにお願いしたところ、快くその場を設けていただきました。その交流の場では、患者の方々が選手の話を直接聞いて、その都度、強く励まされるわけです。我々が「1型糖尿病があってもいろんなことができるんだよ」と伝えても、説得力が弱いんです。しかしダヴィ選手のような方が直接「僕はこんなにできているんだよ」とお話いただけると、その説得力は我々と比べものにならないわけです。それは本当にありがたく、尊い活動をされていると感じています。
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