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World Diabetes Day(世界糖尿病デー) 前田有紀が迫る、全員が1型糖尿病のサイクリングチームの挑戦 (2ページ目)

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「1型糖尿病が理由でできないスポーツはない」

前田 薄井先生に専門的な見地からお伺いいたします。ダビィ選手の話にもありました1型糖尿病ですが、どういった疾患なのでしょうか。

薄井 糖尿病には1型、2型、そのほかの原因によって起こるものと、いくつか種類があります。全世界では糖尿病の5~10%がこの1型糖尿病と言われています。1型糖尿病はすべての年齢で発症しますが、小児期と10~13歳くらいが発症のピークです。また1型糖尿病は、2型糖尿病とはまったく別の病気で、肥満や食べ過ぎ、運動不足などとは関係ありません。

 ではどうして1型糖尿病が起こるのかと言いますと、自己免疫などの機序により、インスリンを産生している膵臓のβ細胞が何らかの原因で破壊され、インスリンを産生できなくなることで起こります。そうして血糖値があがる。それが1型糖尿病です。

 インスリンが足りないのがこの病気の本体ですので、多くの場合、生涯に渡ってインスリンを打ち続ける必要があります。長きに渡って治療が必要になりますので、人生におけるさまざまなイベントを1型糖尿病とともに経験することになります。

糖尿病学を専門とする獨協医科大学内分泌代謝内科所属の薄井勲先生 photo by Ishikawa Takao糖尿病学を専門とする獨協医科大学内分泌代謝内科所属の薄井勲先生 photo by Ishikawa Takao前田 ダヴィ選手はこうして自転車競技を続けていますが、1型糖尿病を持つ方が、スポーツを続けたり、普段の生活をしたりするうえで、気をつけることはどんなことでしょうか。

薄井 最初に申し上げたいのは、1型糖尿病が理由でできないスポーツはないということです。優れたアスリートになれるかどうかは1型糖尿病とは関係ありません。実際にダヴィ選手がこうして活躍していることからもわかると思います。

 ただスポーツをするうえで注意しなくてはいけないことがいくつかあります。一番大事なことは、スポーツができる血糖値を維持することです。スポーツをすると、普段よりも血糖値が下がるので、それを前提とした食事量とインスリン量の調整を自分で適切に行なう必要があります。具体的には糖質の補食やインスリン量の減量などで、基礎インスリンの投与を止めないことも重要です。

 それからスポーツを行なうには、腎臓(腎症)や目(網膜症)をはじめとする全身の組織に進行した合併症がないことが前提条件になります。ですから、合併症の早期発見・早期治療を目的とした、定期的な受診が大切になります。

前田 「1型糖尿病が理由でできないスポーツはない」というのは本当に心強い言葉です。いい血糖値を維持することの大切さも非常によくわかりました。ダヴィ選手は競技を続けるために、具体的にはどのような点に気をつけていますか。

ダヴィ 自転車競技に関わらず、他のプロスポーツでも同じことが言えると思いますが、栄養をしっかり摂る、睡眠をしっかりとる、体力をしっかり回復させることが極めて重要です。レースに出るならば、糖尿病を持っていない人と同じように、自分が持つ最大限のパフォーマンスを発揮しなければなりません。そのためには血糖値のレベルをしっかりと管理することが必要で、具体的には炭水化物を摂ったり、インスリンをきっちり投与したりする。このようなことがとても重要になると考えています。

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