松田丈志はリレー種目の健闘を評価。
選手起用の裏に采配の妙があった (3ページ目)
初日の女子4×100mリレーは24年振りに中国を破り、金メダルを獲った。このレースはまさに日本チームに勢いをつけてくれた。
決勝のリレーオーダーでは背泳ぎ専門の酒井夏海を起用するというサプライズもあったが、奥野コーチに聞けば、酒井はジャパンオープン(6月)で100m自由形を55秒10で泳いでおり、メンバーの候補リストには上がっていたそうだ。
当日の午前中に行われた予選では、フリーリレーのメンバーで選出されている、山本茉由佳と白井璃緒を起用し、タイム及び調子を確認。コーチミーティングで酒井の起用を決めたという。
この起用が見事的中し、酒井は背泳ぎ専門ながら2泳で54秒81の好タイムで泳ぎ、日本チームの金メダルに貢献した。この金メダルはチームワークの賜物だ。
3泳の青木智美は、先日のパンパシのメドレーリレーで53秒51という自身では最速のタイムで泳いでいる。それまではなかなか53秒台で泳げなかったが、パンパシでメダル獲得のプレッシャーのかかる中でアンカーを務め、53秒台に突入した。
ただ一度53秒台が出たから毎回それが出るかというと、そう簡単ではない。連戦の疲れもあるし、ちょっとしたコンディション、レースのシチュエーションの違いでリレーはタイムが変わる。そんな青木は54秒21というタイムでまとめる。
このレースではアンカーを務めた五十嵐が53秒9という自身初の53秒台での泳ぎを見せてくれた。このように4人全てがベストの状態で挑めるとは限らないのだから、リレーでは「自分が少しでも記録をあげる」という気持ちが必要だし、まさに4人で助け合って泳いでいる。
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