北島康介が日本の平泳ぎを託した男、渡辺一平の底力をパンパシで見た!

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真 photo by Tsukida Jun

 パンパシフィック水泳選手権最終日、200m平泳ぎを制したのは、世界記録保持者の渡辺一平(早大)だった。初日の100m平泳ぎでは、小関也朱篤(やすひろ/ミキハウス)が2連覇を達成したが、2大会連続の2冠は阻止した。

 200mの予選で2分12秒15の6位と、渡辺には勝機がないように思えた。しかし、予選は彼にとっては予定どおりのレースだったという。

今の自分にできることを出し切った結果200m平泳ぎで優勝を果たした渡辺一平今の自分にできることを出し切った結果200m平泳ぎで優勝を果たした渡辺一平「いい練習が積めてないという自覚はあったし、2本泳げる力が今の僕にないことはわかっていたので、できる限り力を使わず感覚重視を心がけて泳いだ」

 身長193cmの長い手足を生かした大きな泳ぎを武器にする渡辺は、初代表だった16年リオデジャネイロ五輪では、準決勝で五輪新(2分07秒22)を出しながら、決勝では6位と悔しい思いをした。その半年後、渡辺は17年1月には東京都選手権で2分06秒67の世界記録をマークして優勝を飾っている。

 しかしその後は振るわず、4月の日本選手権ではラスト50mで小関に逆転されて2位、8月の世界選手権でもアントン・チュプコフ(ロシア)と小関を捕らえきれず3位。メダルを獲得して世界記録保持者としての面目は保ったものの、頂点には立てず、ここでも悔しさを味わった。

 また今季は、昨年末からのケガの影響もあって4月の日本選手権では記録が伸びず、またしても小関に敗れた。続く6月のヨーロッパグランプリのバルセロナ大会、モナコ大会では連勝して調子を取り戻していたが、その後6月下旬から2週間発熱。練習を積み重ねることができなかったため、この大会は決勝の一発にかけていたのだ。

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