メダル獲得も突貫工事だった萩野。
中間トレーニングで完全復活は間近

  • 松田丈志●文 text by Matsuda Takeshi
  • 築田純●写真 photo by Tsukida Jun

【短期連載】松田丈志が解説!「パンパシ」・「アジア大会」(3) 

 萩野公介は負けても嬉しそうだった。

 パンパシフィック水泳選手権が閉幕した。日本勢のメダルラッシュと会場のショーアップなどもあり、会場は連日超満員で大いに盛り上がった大会となった。

男子400m個人メドレーの表彰台。銀メダルを獲得した荻野公介(左)。右は銅メダルの瀬戸大也男子400m個人メドレーの表彰台。銀メダルを獲得した荻野公介(左)。右は銅メダルの瀬戸大也

 200m、400m個人メドレーの2種目に挑んだ萩野公介は200mが1分56秒66で3位、400mが4分11秒13で2位という結果だった。優勝はいずれもアメリカのライバル、チェイス・カリシュだ。ライバルに2冠を許し、200mで1秒ちょっと、400mで3秒ちょっと離される結果となった。

 だが、萩野は負けても嬉しそうだった。

 その理由のひとつは、まだ自分にはやっていないことがあるという自信だ。2015年以降、怪我や病気に苦しみ、1年を通して100%のトレーニングができた年がない。2016年リオ五輪はそれまでのトレーニングの「貯金」もあって、金メダルを奪取したが、今やそのトレーニングの貯金も度重なる怪我や体調不良で使い果たしている状況と言える。

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