メダル獲得も突貫工事だった萩野。
中間トレーニングで完全復活は間近 (2ページ目)
今大会前、指導する平井伯昌コーチは100%の状態ではないと言っていた。萩野も、まだまだ相手を意識する状況になく、とにかく、今大会は自分のレース、泳ぎに徹したいと話していた。
レース後に話を聞くと、「レースの中で今ある力は出し切れた。怪我をしてからなかなか感覚が良くなかった背泳ぎも感覚が戻って来たし、やっと今、軌道に乗り始めたと思う」と話してくれた。さらに、「チェイスが今、勢いがあるのは間違いないが、自分にはまだやってないことがある」とも言った。
萩野にそのやってないこととは具体的に何なのか聞いてみた。「ここ最近はすごく高い強度のトレーニングと、すごく低い強度のトレーニングしかできていない。その中間をもっと時間をかけてやることによって、技術的なことと、もっとベース、土台の部分を強化していける」と教えてくれた。
萩野はここ数年、怪我や病気の影響で十分にトレーニングする時間が確保できずにいた。
その少ない時間の中で、レースに間に合わせる為、突貫工事的に、高い強度のトレーニング(試合のスピードに近いトレーニング)とその回復にあてる低強度のトレーニングしかできていないということだろう。
それらの間、中間の強度のトレーニングは専門的には泳ぎの効率性をあげたり、回復能力をあげたりすると言われている。レースのスピードよりは少し遅いレベルに値するところだが、そのエリアのトレーニングをじっくり積むことにより、技術が磨かれ、泳ぎの効率性が上がり、レースでは後半の伸びや、動きのキレに関わってくる部分だ。また、高いスピードを出した時のダメージからの回復能力も上がるので、以前の萩野がそうだったように、他種目のレースをこなすこともできるようになる。
萩野が「まだやっていないこと」と語る中間のエリアのトレーニングは、スイマーのパフォーマンスを土台から支えるような大切な部分なのだ。
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