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北島康介が日本の平泳ぎを託した男、
渡辺一平の底力をパンパシで見た! (3ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • 築田純●写真 photo by Tsukida Jun

 今回も「150mのターンでは、周りが何も見えないように目をつむっていた」と自分の泳ぎに集中することで勝利をつかんだ。それは、彼が本能のまま泳いだ結果ともいえる。そんな素の自分に戻ったレースを経験したことで、渡辺は「今後再び自分にとってベストなレースパターンを見つけていけばいい」と考えている。

「去年の世界選手権もそうでしたが、狙ったレースでなかなか勝てなかったので、今回のパンパシで勝てたのはうれしいです。こういう狙った大会で小関さんに勝てたことも今まではなかったし、いい練習も積めていなかった中で、今持てる力を精一杯出せて勝てたのは、次につながるいいレースになったと思います。

 記録は満足できるものではなかったけれど、これで200mはヨーロッパグランプリのバルセロナ大会から3連勝ですから。今年の課題にしているのは『勝負強い選手になること』なので、これからも勝ち続けるためにどんどん強化していきたい」

 小関という強力なライバルが身近にいることに加え、昨年の世界選手権ではラスト50mを31秒99で泳ぐ強烈な追い上げで優勝したチュプコフが同い年であることも、渡辺の闘争心を掻き立てている要因だろう。

 レース後の会場インタビューで、北島康介から「日本の平泳ぎを託した」と言われた渡辺。21歳の世界記録保持者は、この勝利を足掛かりに、さらなる進化への道を歩み始める。

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