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「箱根駅伝を走れなかった者たち」は「走った者」を超えていけるか 「山の神」神野大地が率いる新チームに加入した4人の新卒選手 (3ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

【トラックで日本選手権入賞も駅伝は初挑戦】

 城西大からは昨年の日本選手権1500mで6位に入った栗原直央が加入した。

「ずっとトラック(種目)をメインにやってきました。でも、駅伝もやってみたいと思っていました。自分は1500mで日本代表として世界に行く目標があるのですが、本当に強い選手はトラックから駅伝までこなせる。自分はそこに挑戦したいと思っています」

 4月上旬、さっそく強さの片鱗を見せた。ADIDAS TOKYO CITY RUN 2025の5kmのロードレースに参加し、いきなり1349秒の自己ベストをマーク。中距離のスピードを生かした走りで、神野らスタッフを驚かせた。

「ロードは厚底シューズを使用しますし、経験もなかったので、トラックとのギャップをかなり感じるのかなって思っていたのですが、意外と走れて自信になりました。練習も今までは短い距離から長い距離に伸ばしていくやり方をしていたのですが、今回は長い距離から短い距離にするアプローチがうまくいっているので、ピーキングが合えばもっとタイムを出せると思っています」

 MABPには、競技とともにやりたいことがあって入社を決めた。

「大学でスポーツイベント運営の授業を受けていたので、MABPが計画しているランニング教室や市民ランナー向けのイベントなどに、すごく興味があったんです。子どもたちに陸上を楽しんでもらって、将来陸上をやりたいなぁって思ってもらえるようなものをやりたいです」

 駅伝は初めての挑戦になる。

「僕はスピードが持ち味なので、それを生かせる区間は1区かなと思っています。よーいドンで集団についていって、ラスト勝負になった時、他の選手よりも前にいける自信があります。あとは距離が短い5区でチームの順位を押し上げる走りをしたい気持ちもあります」

 個人としての目標も明確だ。

「まずは日本選手権の1500mで勝つこと。近藤(秀一)コーチとも話をしているのですが、ゆくゆくは1500mの日本記録を更新したいです。そのために今(の自己ベスト)は3分39秒台ですが、今季は36秒台を出したいですね。5000mはできれば1335秒台、10000mも昨年1回走って290832だったので、28分台はいけると思っています」

 1500mと駅伝を両立させた選手といえば、館澤亨次(東海大eNASGホールディングス)が思い浮かぶが、果たして栗原も二兎を追えるか。

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