「箱根駅伝を走れなかった者たち」は「走った者」を超えていけるか 「山の神」神野大地が率いる新チームに加入した4人の新卒選手 (2ページ目)
【最後の箱根直前、12月31日にエントリー変更を告げられた】
プレイングマネージャーの神野みずからも選手をスカウトした photo by Murakami Shogo
中川雄太も板垣と同じ國學院大出身だ。
「箱根駅伝を走ることを目標にやってきたのですが、一度も走れなかったので実業団の駅伝でリベンジしたいと思うようになりました。そこで、より駅伝につながるところをと前田(康弘)監督に相談したところ、MABPを紹介していただいたんです」
中川は高校時代からトラックよりもロードを走ることが好きで、箱根駅伝を走るために國學院大に進学した。4年時の昨季、チームは出雲駅伝、全日本大学駅伝に優勝。中川は3冠を目指す箱根駅伝のエントリーメンバーに入り、10区を走る予定だった。だが、レース2週間前の練習で立場が変わった。
「大事なポイント練習で少し外してしまったんです。その時、後輩のほうが動きがよくて。そこで監督も変える判断をしたのかなと思います。12月31日の朝に『交代』と告げられた時は、さすがにショックで言葉が出なかったです」
國學院大は箱根で総合3位に終わり、中川も直前交代のショックを引きずった。だが、その悔しさをモチベーションに変え、2月には香川丸亀国際ハーフマラソンに出場し、1時間01分40秒の自己ベストをマークした。神野からは「よくやった。平林や山本(歩夢/旭化成)に大学時代は勝てなかったけど、実業団で勝てるようにしよう」と言われたという。
「今の目標は、とにかく東日本実業団駅伝でニューイヤー駅伝の出場権をつかむこと。自分の持ち味は、長い距離でも最後の最後まで崩れない粘り強さなので、そこを強みにしつつ、自分が決めるぐらいの気持ちで、区間賞を取ってチームに貢献したい。そのために(夏までの)トラックシーズンでスピードを磨いていきたいと思っています」
希望区間は7区。アンカーだ。
「高校時代とか1区を走るのが好きで、集団で相手と競うほうが自分に合っていると思っていたのですが、大学で単独で走る練習をしてからひとりで走る力がついてきたんです。(今年1月の)都道府県対抗男子駅伝で秋田県代表のアンカーとしてゴールをした時、気持ちよかったんです。箱根で10区を走れなかった悔しさもあるので、アンカーで勝負したいと思っています」
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