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【箱根駅伝2026】大志田秀次・明大駅伝新監督が分析する低迷の要因と今シーズンへの思い (3ページ目)

  • 牧野 豊●取材・文
  • 村上庄吾●写真

【優しいおじさん? 4年生3人の第一印象は?】

選手個々との対話を重視する大志田監督(右)。秋にはどのようなチームに photo by Murakami Shogo選手個々との対話を重視する大志田監督(右)。秋にはどのようなチームに photo by Murakami Shogo

 新たな明大の舵取りを任された大志田監督だが、選手たちの目にはどのように映っているのだろうか。現在の3、4年生にとっては入学後3人目の監督となり、当初は戸惑う部分もあったことだろう。ただ、選手である以上「強くなりたい」という思いは変わらぬもの。特に4年生にとっては、学生最後のシーズンを託す監督となる。

 部員のなかで一番最初に大志田監督に会ったという主将の室田安寿(宮崎日大高・宮崎)は、初対面のときのことを次のように思い返す。

「どのような実績がある方かは知っていましたし、話してみると、優しいおじさん、という印象でした(笑)。ただ、具体的な話を聞いていくと、大志田監督の考え方は幅広い層の選手に対して、速く走れるようなアプローチなのかなという印象を持ちました」

 自他ともに「強いメンタルの持ち主」と認めるエース格の森下は、「自分は結構意見があるタイプなのですが、初めて話した時に嫌な顔をせず聞いていただき、大志田監督の考え方も話していただいた。一緒に考えて自分が強くなれる、強くしてもらえる方という印象でした」と言い、森下と高校時代に日本一を経験している吉川は「初めてお会いしたのに以前から知っていた方のように、話しやすく接していただいたのが印象的でした」と振り返る。

 まだ1カ月強という時間ではあるが、大志田駅伝監督の考え方が浸透し始めていることを感じさせるのは、森下のコメントだ。

「大志田監督の考え方は個を強くするというもので、自分も共感する部分が多い。みんなチーム、チームと言いがちですが、それ以前に個が弱すぎた。やっぱり個が強くなることでチームも強くなっていくと思っているので」

 ちなみに話を聞いた3人の4年生は、東国大時代の大志田監督とは、スカウトで接する機会がなかったという。

 果たして新時代に向けてスタートを切る明治大は、どのようなケミストリー(化学反応)を醸成していくのか。大いに注目したい。

●Profile
おおしだ・しゅうじ/1962年5月27日生まれ、岩手県出身。選手歴:盛岡工高―中央大―本田技研工業(現Honda)。中大時代には箱根駅伝に2回出場し、4年時には8区で区間賞を獲得。個人では1500mを軸に活躍し、1986年アジア大会では金メダルを獲得した。現役引退後の1991年からHondaで指導者としての活動を始め、1996年には中大のコーチとして箱根駅伝総合優勝に貢献。2011年に創部されたばかりの東京国際大の監督となり、創部5年目の2016年に箱根駅伝初出場、2020年には初のシード権獲得(5位)に導いた。また、全日本大学駅伝には2019年に初出場でシード権獲得(4位)、出雲駅伝では2022年に初出場初優勝を遂げた。2023年から2年間はHondaのエグゼクティブアドバイザーを務め、2025年4月に明治大駅伝監督に就任した。

著者プロフィール

  • 牧野 豊

    牧野 豊 (まきの・ゆたか)

    1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「Jr.バスケットボール・マガジン」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。229月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。

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