【箱根駅伝2026】大志田秀次・明大駅伝新監督が分析する低迷の要因と今シーズンへの思い (2ページ目)
【2025年度の目標は選手が掲げた本戦出場とシード権獲得】
大志田監督は選手の自主性こそが強くなるための源と説く photo by Murakami Shogo
大志田監督は、「自主性」こそがチームを強くする源であり、だからこそ選手個々とのやり取りを重視する。合宿所内に各選手の年間目標を貼り出しているが、その目標に向かう短・中期的な進捗は「選手個々が状況を認(したた)めて、それを監督やスタッフと擦り合わせて進めていけばいい」と言う。それは他人の目を意識することより、常に自分自身と向き合うことに集中でき、ひいては自主性を育むことにつながるという考え方があるからだ。
大きな目標に向かって、具体的に細かいことを落とし込み、積み重ねていく。そのスタイルは以前と変わらない。
ただ、そうした姿勢や精神論のみを強調するのではなく、時代に合った具体的な強化指針も出し、すでに進め始めている。
――選手強化、練習方法のアプローチはどのように考えていますか。
「近年の長距離界の流れを汲めば、厚底シューズの進化への対応策を中心に、身体のケアやコンディショニング全般にアプローチすることは必要になってくると感じています。故障したあとの治療にフォーカスするのではなく、どうやってケガなく厚底シューズの反力を生かした走りができるようになるのか。そのあたりを選手個々と話しながら、それぞれの目標に対して、突き詰めていくつもりです。
例えば1万m27分台を目指すなら、1km2分45秒と考え1000mを10本、2000mなら5分30秒で5本、3000mなら8分20秒を切るタイムで3本、これを練習で出せるようにするために、どのような練習を重ねていくか。そこから体づくりであったり、食事面のケア、治療、あと効率の良いフォームを求めていきます」
――何か新しく取り入れたことはありますか。
「動作測定です。体の関節部分に測定器のセンサーをつけて行なうもので、走行時における各所の力の入り具合であるとか、左右のバランスを検証するものです。今は人数を絞って試験的に実施していますが、ある選手は、そのデータから歩幅に改善の余地があることがわかったのですが、それはその選手が以前から同じことを感じていた部分だったのです。
選手自身の感覚がデータや第三者の意見として示されると、説得力が出てくる。それが先ほどお話しした自主性にもつながってくるので、可能な範囲で進めていければと思います」
――どういうチーム作りを行なっていきたいですか。
「競走部の部員としての自主性を養い、自分たちで成長していけるチームになることです。今はまだやれていない部分もありますが、能力の高い選手は多いので、その部分がしっかり整ってくれば、結果に結びついてくると思います」
――現在いるメンバーには箱根駅伝を経験している選手が6人います。今シーズンの目標は箱根本戦出場とシード権獲得を掲げています。
「選手たちが掲げた目標ですので、まずは選手個々と話を重ねながら、選手自身で成長できる体制を整えられればと思います。1年、1年、結果を求めていきますが、中期的に見れば、来年はもっと強くなれますし、今年の新入生が最上級生になった時には5番以内に入れるくらいのレベルに行ければ、2031年度には優勝争いが展開できるチーム力を備えられるのではないかという青写真を描いています」
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