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早大サークルからトップステージへ 異色の23歳・小林香菜が大阪国際女子マラソンで切り開いた世界への道 (2ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

【異色の経歴、独特なピッチ走法】

 ストライド(歩幅)が短い高速ピッチ走法は特徴的だが、中学から陸上を始めた彼女の経歴も異色だ。

 早稲田大入学後はランニングサークルに所属。「基本的には週に1回、皇居をジョグで2周する活動で、秋からは有志でレースに出場したりして、大学4年の12月にホノルルマラソンをみんなで走ることを目標にしている、ゆるい会です」。マラソンを走るために、陸上部ではなくサークルを選んだという小林は、出身の前橋市陸協所属でマラソンにもチャレンジし、準招待選手として出場した一昨年の大阪国際女子マラソンで2時間36分54秒の21位。その結果を認められて、大学4年時の昨年はネクストヒロイン枠で出場していた。

 だが大学卒業が迫っても、競技に対する気持ちは強くなるばかりで、実業団で走る可能性も追求し始めた。

「大学で楽しく走っているうちに『もっと速く走りたい』という思いが再燃してきました。一昨年の大阪は中間点まで第2集団についていけてMGC(マラソン五輪代表選考会)に出るような選手と一緒に走ることができたのがとても楽しかったので、本格的にやりたいという気持ちが強くなっていきました」

 小林が大学4年になる頃に初めて会ったという大塚製薬の河野監督は、小林を指導するようになった経緯を次のように説明する。

「最初は紹介されて相談に乗るということで、(小林の)出身の前橋に近いチームを紹介しましたが、合宿に来たいというので来させているうちに『大塚製薬はダメですか』と言ってきて入ることになりました。当初は本当にジョギングしかしていなかった動きだったので、実業団でやりたいと言ってもかなりきついだろうなと思いました。こちらのメイン練習の設定タイムを聞いて驚くくらいで......。

 ただ、2023年の大阪は第2集団につけてハーフを1時間11分57秒で走ったので、『この走りであのタイムが出たのか』と驚きましたし、2時間36分54秒でゴールしたことも驚きました。だったらある程度トレーニングを本格的にやったら、もう少し高いところに着地するのは当然だ、という思いもありました」

 昨年4月に入社して1カ月後くらいからは長い距離も走れるようになり、10月のプリンセス駅伝(全日本実業団女子駅伝予選)では最長(10.7km)の3区を走って区間2位。クイーンズ駅伝(全日本実業団女子駅伝)も最長区間(10.6km)の3区を走り(区間11位)、チームの主力になった。

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