箱根駅伝2025 打倒3強に燃える創価大学の榎木監督「ダークホースという評価はもういらない」 (3ページ目)
【重要視しているのは1区】
今回の箱根での目標は往路優勝、総合優勝。
「目標を飾りに置いているようだと達成できませんが、本当にそこを目指すのではあれば全日本でできなかったことをやりきらないといけない。先日の日体大記録会(12月2日)も記録が出るのは当り前。でも、集団の後ろについてタイムを出しても駅伝につながらない。レースを途中で動かしたり、勝ちきるとか、それをやって初めて駅伝につながると言っているので、そういう意味では1年生の石丸(修那)や山口(翔輝)は攻めた走りをして、最後もしっかり上げきったレースを見せた。それに比べると、4年生は少し物足りなかった。箱根本番までに勝ちたいという意識を高めることができるかどうかがひとつ大きなポイントです」
メンバーを見れば、3強に引けを取らない実力者がそろっている。ムチーニを軸に吉田響、吉田凌(4年)、小暮栄輝(4年)、野沢、小池莉希(2年)らの顔が浮かぶ。とりわけ吉田響は出雲、全日本ともに快走し、駅伝での強さを見せた。その吉田響は前回同様に山(5区)を走るのか、それとも平地を走るのか。彼の配置は興味深くもあり、また他大学にとって警戒すべき点になる。
「吉田響をセオリーどおりに山に置くのか。それとも平地に置くのか。平地に置いたとき、どれだけ他校の脅威になるのか。ムチーニとともに平地区間の選択の幅が広がったので、ここは楽しみですね。ただ、箱根で大事だと考えているのは1区です。もちろん、2区以降にエースが控えているので、そこからの勝負で良いという見方もあります。実際、出雲、全日本とともに1区はハイペースで前に出る感じにはならなかったですからね。だから、箱根の1区もスローになる可能性がありますが、2022年の中央大の吉居大和君(現・トヨタ自動車)のようにいきなり前に出て引き離されると終わってしまう。どんな状況にも対応できるような実力のある選手を1区に置きたいと思っています。あとは、適材適所で選手が持ち味を発揮してくれれば、目標の往路優勝、そして総合優勝も狙えると思っています」
下馬評では、やはり3強の優位は動かないだろうという声が多い。創価大は、出雲、全日本の結果が示すとおりの4、5番手、ダークホークと言われているが、榎木監督は「もうそろそろ......」と決意を口にする。
「いい走りをすると、『創価はよくやった』と言われますが、それは下に見られているというか、優勝はないんだろうなと見られているから、そう言われると思うんです。3強ではなく4強にしてほしいと思うんですけど、まだそこには実力が足りていないという評価なのでしょう。でも、自分たちはもうシード権で満足するチームではない。常にトップ3を目指すというところまで踏み込んできています。ダークホースという評価はもういらないですね」
前編を読む>>箱根駅伝2025 3強崩しを狙う創価大・榎木監督 指導の原点は4年連続区間賞を獲得した中央大時代にあり
■Profile
榎木和貴/えのきかずたか
1974年6月7日生まれ。宮崎県立小林高校では全国高校駅伝で区間賞を獲得。中央大学では箱根駅伝で4年連続区間賞に輝き、3年時にはチーム14回目の総合優勝に貢献した。卒業後は旭化成に入社し、2000年別府大分毎日マラソンで優勝。2004年に沖電気陸上競技部コーチに就任。その後、トヨタ紡織陸上競技部コーチ、監督を経て、2019年に創価大学陸上競技部駅伝部の監督に就任すると、1年目の箱根でチーム史上初のシード権獲得、2年目で往路優勝、総合2位に導いた。
著者プロフィール
佐藤 俊 (さとう・しゅん)
1963年北海道生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、出版社を経て1993年にフリーランスに転向。現在は陸上(駅伝)、サッカー、卓球などさまざまなスポーツや、伝統芸能など幅広い分野を取材し、雑誌、WEB、新聞などに寄稿している。「宮本恒靖 学ぶ人」(文藝春秋)、「箱根0区を駆ける者たち」(幻冬舎)、「箱根奪取」(集英社)など著書多数。近著に「箱根5区」(徳間書店)。
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