検索

箱根駅伝2025 打倒3強に燃える創価大学の榎木監督「ダークホースという評価はもういらない」 (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 辻晋太朗●撮影 photo by Tsuji Shintaro

【出雲、全日本では気持ちの甘さがあった】

一昨年に完成した寮。最新の機器が導入されている一昨年に完成した寮。最新の機器が導入されているこの記事に関連する写真を見る

 今季の自信は、個々の選手の成長が裏付けになっている。昨年のチームは10000m28分台の選手が11名いたが、今季は13名に増えた。また、トラックシーズンが終わった時点での10000mの上位10名平均タイムが282802で國学院大に次ぐ2位だった。その結果から選手の成長と覚悟を感じ、駅伝シーズンに突入したが、初戦の出雲駅伝は4位に終わった。

「出雲はスティーブン(・ムチーニ)(2年)が直前のケガで離脱し、留学生を使わない駅伝になりました。以前のウチは留学生がいるから順位をキープしてくれる、押し上げてくれるという安心感があっての駅伝だったんです。今回は初めて留学生を起用しない駅伝になったのですが、ある程度、戦うことができました、日本人だけでも目標は変えず、攻めていくんだというのを植え付けられたのが大きな収穫でしたね」

 続く全日本では、ムチーニが戻ってきた。出雲で戦える自信を持てただけに、榎木監督は國學院大、駒大、青学大に一矢報いる戦いができると思っていたという。実際、2区ではエースの吉田響(4年)が青学大の鶴川正也(4年)と激烈な叩き合いを見せ、「創価大、来るか」という期待を抱かせたが、それ以降は徐々に順位を下げていった。8区の野沢悠真(3年)が区間2位で意地を見せたものの、最終的には出雲と同じ4位。レース後は榎木監督も厳しい表情を浮かべていた。

「吉田響は気合いが入りまくった走りを見せてくれましたし、5区のムチーニは70パーセントくらいの仕上がりでしたが、崩れずにつないでくれました。課題はその前の3区、4区ですね。特に3区の石丸(惇那)(3年)は、響がああいういい流れで来たのにもかかわらず、攻めた走りができなかった。出雲も中途半端な走りでしたし、だからこそ全日本では青学大の折田壮太君(1年)の前に出るとか、そういう強気の走りをしてほしかったですね。そうすれば、自分の殻を破れたかなと思います。彼を含めてチーム全体として勝とうという意識が足りなかったですね」

 レースを終えて榎木監督が國学院大、駒大、青学大の上位3校から感じたのは、「勝ちたい」という強い気持ちと覚悟だった。

「上位3校は優勝しか見ていない。そこと比べると、私たちは『3位以上でいいんだ』という気持ちの甘さがあったのかなと思います。やっぱり優勝しか目指していないチームは攻めるんですよ。その気持ちの熱量というか、自分たちが勝つんだ、箱根はもう誰にも譲らないという覚悟を持ってほしいと選手に話し、共有しました」

2 / 3

キーワード

このページのトップに戻る