「3大駅伝の常連校に」中野剛新監督が目指す"強い神奈川大"再建への道 (2ページ目)

  • 佐藤俊●取材・文 text by Sato Shun

――4月からのトラックシーズンは、どう進めていったのですか。

「箱根の強豪校と比べて能力が高い子ばかり集まってくるわけじゃないですし、強い選手を上回れるような練習がまだ十分にできていません。そう考えると、せめて経験値を上げておきたい。今後、もうひとつ上のステージにいくために、準備のできている学生に関してはレースや実戦練習を多く取り入れました」

 自主性を重んじると、厳しさや一体感に欠けるところも出てくるが、今のところはいい方向に進んでいる。全日本大学駅伝予選会では結束力を高め、それぞれが自分の力を発揮することに注力し、見事7位で予選を通過した。

――全日本の予選会はお見事でしたが、大会へのアプローチはどういう感じで進めていったのでしょうか。

「実は選考会に出場できる状況かどうかも微妙でしたが、出なければ始まらないので10000mをメインに準備しました。選考会については、最後のミーティングで『余裕があればラスト2000m、ラスト5周、ラスト5分間、勝負していいよ。迷うぐらいなら勝負して負けたほうがいい』と伝えました。みんなそれを理解してくれたと思うんですが、1組目の滝本(朗史・2年)は、ラスト3000mから飛び出していったので、さすがにヒヤヒヤしました。でも、あの飛び出しがチームに勢いをつけました。うちも万全ではなかったのですが、大崩れする選手がいなかったのが突破の要因だと思います」

――1月から指導してきたなかで、ひとつ結果を出せたのは、監督のなかでも何か手応えになるものを感じられたのではないでしょうか。

「手応えというよりも、新しい気づきがありました。予選会前、学生が『いけるよ』という感じだったので、『そんなに甘くないけどな』と思っていたんです。でも、1カ月前の調整段階に入って伸びてくる選手がいたので、学生はこの段階でも成長するんだなって驚きました。ちょっと前まではメンバーに入ることが考えられない子が急に強くなるんです」

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