パリオリンピック直前! マラソン代表小山直城「キプチョゲらアフリカ勢に喰らいつきたい」オリンピック後の目標も明かす (2ページ目)
実業団での3年目の夏、小山は2021年のホクレンディスタンス深川大会10000mで27分55秒16の自己ベストをマークした。
「27分台を出せたので、ここでトラックに一区切りをつけて、本格的にマラソンをやろうと決めました」
この時マラソンに移行したのには、もうひとつ理由があった。
「この頃、ちょうどパリ五輪に向けてのMGCの要項が発表されたんです。MCGに出場するためには、2時間10分のアベレージを出すことが求められていたので、早めにマラソンに挑戦したほうがいいと思って切り替えました」
小山には鮮明に残っている記憶がある。
2019年、東京五輪マラソン男子代表を決めるMGCが行なわれた。チームから尊敬する設楽悠太が出場するので、小山は現地に赴いた。設楽が走っている姿を見て、応援するのと同時に自分のなかに沸々とこみ上げてくるものを感じた。
「現地に応援で行ったんですけど、悠太さんがスタートから飛び出すというのは、監督や自分たちも知らなかったのでビックリしました。レースは本当に独特の雰囲気で、ものすごく影響を受けました。このレースを見て、自分もMGCで走りたいと思ったんです」
その4年後、2023年10月15日、パリ五輪のマラソン男子選考会のMGCが激しい雨が降るなか、61名の選手が参加して行なわれた。川内優輝が前回大会の設楽悠太のようにスタートから飛び出すも、小山は冷静に2位集団につき、35キロでトップの川内を捉えた。その後、小山ら4名の選手がトップ争いを演じ、38キロ過ぎで動きが出た。小山は前に出ると一気に後続を引き離し、そのままトップでフィニッシュ。パリ五輪への切符を射止めた。
「勝因は3月の東京マラソンでMGCの出場権を取ったあと、7月にオーストラリアのゴールドコーストマラソンに出たんです。そこで取り組んできたことが結果として出たので、その流れをうまく10月のMGCまでつなげられたのと、あとはコンディションですね。ケガや体調不良などなく、万全でスタートラインに立てました。雨も味方してくれましたね。雨だと、力を落ちてしまう選手もいるんですが、自分は雨でも出せる力が変わらないというか、むしろ得意なのかなぁと思っています」
レース後は、余韻に浸ることなく、パリ五輪に向けて動き出した。
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