相澤晃が語る箱根駅伝の魅力と母校・東洋大学へのエール 前回、現地観戦場所に2区を選んだワケ (2ページ目)

  • 牧野 豊⚫︎取材・文 text by Makino Yutaka

【第100回大会と母校・東洋大へのエール】

 節目の100回大会を迎える今回の箱根駅伝、史上初の2年連続3冠の偉業がかかる駒澤大学が圧倒的な優勝候補だ。相澤はどう見ているのか。

「間違いなく大本命は駒大だと思います。とはいえ、青山学院大も強いですよ。たとえば前回大会でも4区まで競り合いました。当日変更のあった5区で大きく後れを取ったことでリズムが崩れた印象でしたが、普通に走れていれば復路ももっと競れたと思いますし、選手層からしても、優勝するチャンスはある。中央大、國學院大も優勝を狙う戦力は整っていると思います」

 駒澤大の区間エントリーは、主将の鈴木芽吹(4年)が2区、2年生エースの佐藤圭汰が3区、補欠の篠原倖太朗(3年)は当日変更で4区への起用が見込まれており、三枚看板が前半3区間で勝負を決めにくることも予想されているが──。

「往路に3人を並べてくるのか、篠原君を復路に残すのかでだいぶ変わると思います。推測されていた佐藤君の1区はありだと思っていましたが、現実的にはやはり3区です。藤田監督が1年目でどのような采配をしてくるか。どうでしょう(笑)」

 そして、やはり気になるのは母校・東洋大。ここ数年は厳しい戦いが続く中、18年連続でシード権を守り続けてきた。今季もなかなか主力の足並みが揃わず、出雲駅伝、全日本大学駅伝では精彩を欠いているが、相澤は後輩たちにエールを贈る。

「高校(学法石川・福島)の後輩でもあるエースの松山和希(4年)がカギを握るでしょうね。松山がどの区間にしても区間上位で走れれば、シード権は固いと思います。仮に計算できる選手が計算どおりに行かなくても、ここ数年は4年生が踏ん張って、つないできました。その意味では4年生の踏ん張り、今年に関しては下級生含めて全員でしっかりつないで行ってもらえればと応援しています」

 今回は前日のニューイヤー駅伝に出走予定のため、箱根駅伝の現地に足を運ぶかどうかは未定だが、行くならあるアイデアを心に温めている。

「松山は、高校は入れ代わりの世代ですが話もする間柄で、とはいえ先輩風を吹かせるのも嫌なので(笑)、箱根駅伝での最後の勇姿を自分のカメラで撮影して、それとなく渡せたら最高ですね」

【プロフィール】相澤晃(あいざわ・あきら)/1997年7月18日生まれ、福島県出身。学法石川高(福島)→東洋大。高校時代は貧血などに悩まされインターハイ出場はなかったが、大学入学後は食事の改善等もあり、その潜在能力を発揮。2年時以降は特に学生3大駅伝でその存在感を見せつけ、出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝すべてで区間新記録を樹立。2020年箱根駅伝2区では史上初の1時間5分台(57秒)となる区間新記録を樹立した(今も歴代2位、日本人歴代最高)。卒業後は旭化成に進み、トラック1万mで日本記録更新、日本選手権2連覇、2021年東京五輪出場(17位)とさらなる成長を続けている。2023年12月の日本選手権1万mでは27分13秒04の自己ベストで3位に入った。

プロフィール

  • 牧野 豊

    牧野 豊 (まきの・ゆたか)

    1970年、東京・神田生まれ。上智大卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。複数の専門誌に携わった後、「Jr.バスケットボール・マガジン」「スイミング・マガジン」「陸上競技マガジン」等5誌の編集長を歴任。NFLスーパーボウル、NBAファイナル、アジア大会、各競技の世界選手権のほか、2012年ロンドン、21年東京と夏季五輪2大会を現地取材。229月に退社し、現在はフリーランスのスポーツ専門編集者&ライターとして活動中。

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