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競輪・岩本俊介が41歳にしてS級S班(上位9人)で奮闘中 陸上への未練と変化、無茶な練習を経て辿り着いた境地も明かす

  • 加藤康博●文 text by Kato Yasuhiro

力強い走りで好成績を残してきた岩本俊介 photo by Hirose Hisaya力強い走りで好成績を残してきた岩本俊介 photo by Hirose Hisayaこの記事に関連する写真を見る

【40歳でブレイク】

 遅咲きの選手と言って、差し支えないだろう。

 岩本俊介(94期・千葉)は昨年5月の日本選手権競輪(通称、ダービー)で40歳にして初めてGⅠに格付けされるレースの決勝へ進み、2着に。そして12月にはこちらも初めて、最高峰のレースであるKEIRINグランプリへの出場を果たした。同時に約2200人いる男子の競輪選手のなかで上位9人しか入れないS級S班に昇班するとともに、その証である赤いレーサーパンツで戦い始めた。

「赤いレーサーパンツを履いたからと言って、自分のなかで何かが変わるわけではありません。ただ初めて競輪を見る方からすれば、強い選手と見ていただけると思うので、期待とプレッシャーは感じますし、そこからくる不安ゆえに硬くなることもあります。

 一方で、レースを終えて家に帰ったら、またあの緊張感のなかで走りたいという気持ちも湧いてくる。不安な気持ちと、頑張ろうという気持ちが行ったり来たりしていますね」

 穏やかに、控えめに、そして丁寧に言葉を選びながら話す。「戦いに向いている性格ではない」というのがレーサー岩本俊介の自己評価だ。ただ40歳にして初めて競輪界の頂点を争う舞台に立ったことについて問うと、きっぱりと積み上げてきたものへの自信を口にする。

「人それぞれの時間が流れるなか、僕の場合は"よっこらしょ"という感じに40歳でようやく成果が出たというだけのことです。(昨年の)ダービーの準決勝も、気がついたらここにいたという感覚でしたし、決勝も初めて自分の確信で乗れたと思いました。運がよかったとか、たまたまということはなく、確実にやってきたことの成果だと思います」

 2024年の飛躍は費やした時間と努力による必然だった。

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