箱根駅伝の勢力図を塗り替えることができるか。スピード化に対応&大物ルーキー登場で中央学院大に勢い (2ページ目)
川崎監督から「吉田が離れている。しっかり稼げ」という檄が飛ぶ。周回遅れになった吉田を抜いた時に表情が見えたが、かなり苦しそうだった。その分、「自分が......」と奮い立たせた。
川田にはもうひとつ頑張らなければいけない理由があった。昨年の箱根駅伝予選会で力を発揮できず、10位の専修大に37秒差で敗れ、出場を逃した。
「予選会で自分は設定タイムよりも1分以上遅くて、そのせいで出場を逃してしまった。それが悔しくて、今回はなんとしても......という思いから、しっかり調整してきました」
川田は8位に入り自分の役割を果たしたが、吉田は40位に終わり、この時点で中央学院大は総合12位に後退した。
そんな嫌なムードを払拭したのが、3組で走った武川流以名(ぶかわ・るいな/3年)と主将の小島慎也(3年)だった。武川は覚悟を持ってこのレースに臨んだ。
「参加選手のなかで自分と小島は持ちタイムが上位のほうでしたし、前の組で吉田さんが失速したので、小島に『トップ争いするぞ』と言ってスタートしました」
小島も巻き返しを誓ってスタートした。
「タイム差もあり、順位も下がってやばいなと思ったんですが、まだ自分らを含めて2組あるし、あきらめずに武川としっかり稼ごうと思っていました」
レースはふたりとも先頭集団に入り、武川は冷静にレースの状況を把握しながら走っていた。
「途中から樋口(翔太/日本大3年)が引っ張るだろうなと思っていました。あとは国学院大のふたりが仕掛けるタイミングを見ながら、余裕を持って走ることができました」
その言葉どおり、6キロで樋口が先頭に立つと、そのあとを国学院大の平林清澄(1年)らがついていき、そのうしろに武川と小島が続いた。
8キロ過ぎで平林が飛び出すと、それを追うように武川、小島も前に出た。そして最後のホームストレートに入った瞬間、小島と武川が猛烈なラストスパートを見せ、平林を差し切り小島が1位、武川が2位でフィニッシュした。
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