松田瑞生の好記録が、
日本女子マラソンが再び隆盛する契機になる (2ページ目)
「たしかに序盤は余裕があったけど、ずっと速いペースだと脚がきつくなったりするし、ハーフを超えてからきつくなるのは自分でもわかっていました。だから『このまま行けるかな?』という不安はあったんですけど、レース前に、私が月間1300km走ったと高橋尚子さんに言った時、『それだけ走ったということは、後半に絶対に生きてくる』と言ってくれたのが頭に浮かんできて。『このままのペースでいったら逆にいいタイムが出る』と思って、プラスに考えるようにしたんです」
ダイハツの山中美和子監督は試合を笑顔でこう振り返る。
「正直、大会前の練習も原点に戻って少し流れを変えたところもあったので、不安半分。調子がよくなっていたので期待半分でした。でもスタート直後の動きを見て調子が上がっているなと感じたので、少し安心してレースを見ることができました。練習でペースメーカーと一緒に走っている時も少し前に出ることがあるので、いつもどおりかなと思って見ていました」
MGCの前は、標高約1600mのアルバカーキよりも、さらに標高が500mほど高いフラッグスタッフで2カ月間ほど負荷の大きい練習をしていた。結果、疲労が溜まっていたのか、帰国してからもむくみが取れず、脚がすっきりしなかった。そのため、今回は強度の高い練習は前倒しして行ない、疲労を抜く期間を少し長めに取るなど、微調整をしてきた。それがピタリとハマった。
「今回は(5km)16分半でいっても余裕があったところがよかったですね。『こんなに余裕があるんや』と思いました。それに早めにフォームとリズムがハマったので、『このリズムならいけるかも』と。ハーフを通過した時は自己ベストだったので『速すぎない?』と思ったけれど、『このままだったら22分22秒には相当余裕があるな』と思ったし、30kmまでは相当速いペースだったので、『これならいける』と思いました。
ただ、30kmを超えてからは本当にきつかったです。1kmがものすごく長くて......。35kmから40kmが17分25秒に落ちているのを見て、『ヤバッ』と声を出していました」
それでも30kmからは独走状態。2位に53秒差をつける、日本歴代6位の2時間21分47秒でゴールした。3月8日の名古屋ウィメンズマラソンに出場する選手にとって、この松田の記録は上回るのが難しい高いハードルと言える。
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