2020.01.28

松田瑞生の好記録が、
日本女子マラソンが再び隆盛する契機になる

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by Naoki Morita/AFLO SPORT

 9月のMGC(マラソン・グランド・チャンピオンシップ)で、東京五輪のマラソン代表の2枠は、前田穂南(天満屋)と鈴木亜由子(日本郵政グループ)が勝ち取っている。残り1枠を争うMGCファイナルチャレンジとして、女子は昨年12月のさいたま国際マラソン、1月の大阪国際女子マラソン、3月の名古屋ウィメンズマラソンの3レースが設定された。

MGC4位の悔しさを晴らす快走で、東京五輪に一歩近づいた松田瑞生 そして1月26日に開催された2レース目の大阪国際で、松田瑞生(ダイハツ)が期待どおりの走りを見せ、3枠目の第一候補に躍り出た。

 松田は、MGCでは本命のひとりとして臨んだが、最初のペースが想定以上に速く、うまく対応できないまま4位に終わっていた。その松田にとって、大阪国際は地元開催であるとともに、初マラソンだった2018年に2時間22分44秒で優勝している相性のいい大会だ。

 今回は代表内定となるファイナルチャレンジ設定記録が2時間22分22秒以内ということで、レースはペースメーカーが1km3分20~21秒で引っ張る予定だった。レースは出だしから、ペースメーカー5人のうち12kmまで走る予定だった新谷仁美(積水化学)が設定より1~2秒速いペースで引っ張り、最初の5kmは16分36秒、次の5kmは16分31秒と、ハイペースになった。

 この設定記録は松田自身、18年9月のベルリンマラソンで出した2時間22分23秒よりも1秒だけ速いタイム。松田はこう考えて走っていた。

「自分を超えることが最大の目標だったので、ほかの選手は眼中になかったというか......。ほかの選手を気にしていたら自分の走りができなくなるので、自分のレースに集中していたというのが大きい」

 ペースメーカーの斜め後ろにピタリとつき、ときにはペースメーカーを煽るような雰囲気も見せる走りには、少し気負いもあるように感じた。しかし、レース後に聞いてみると、松田は真逆の感覚を抱いていた。

「私のチームにもペースメーカーがいて練習では一緒に走るけど、斜め後ろについて走るのが一番好きなので、(今日も)その位置にベタづきしていたんです。でもペースに関しては『新谷さん、速い、ちょっと速い』と思っていました。『もうちょっと(ペースを)落として』と言ったけど、新谷さんは『いいよ、いいよ、余裕だよ』と言って、そのままだったので、『落ちひんやん、速い』と思って走っていました」

 笑いながらこう話した松田だが、ハイペースでも不安は芽生えなかったと言う。それは、2時間19分12秒の日本記録を目指す走りをしなければ、設定記録を突破することはできないと考えていたからだ。