箱根を走れなかった男・松尾淳之介が好走。
東海大が新シーズンへ弾み (3ページ目)
学生ハーフは両角監督曰く「箱根を走る選手のひとつの目安」にしているレースだ。
昨年でいえば、この学生ハーフで学内上位6名が全員箱根メンバー入りし、うち西田壮志(2年)、小松、郡司、中島怜利(3年)の4人が箱根を走っている。このジンクスが生きているのなら、松尾が来年の箱根を走る可能性は極めて高くなったと言える。
その基準からすると、もうひとり楽しみな選手が戻ってきた。
名取燎太(東海大/2年)である。名取は佐久長聖高校から鳴り物入りで入学し期待されていたが、1年時は思うような走りができなかった。昨年は夏こそ調子がよかったが、その後、故障した。その結果、2年間で3大駅伝を一度も走ることができなかったのである。
「調子がよくなって、大会に合わせてようと調整していくなかで無理をして故障する。それを繰り返してしまいました」
名取はチームから離れて練習をするようになった。両角監督曰く「無理をさせず、しっかりと足をつくっていくことを重視した」からだ。
朝のジョグはチームで動くが、普段の練習はチームから離れ、距離中心に行なった。
「ペースは早くなくて、1キロ5分ぐらいで30キロぐらいですね。ゆっくりと長い距離を走って、今後、早いペースで走るための下地づくりという感じで進めていきました。練習メニューは基本的に両角監督が出してくれるんですけど、そこで僕がやりたいことがある場合、監督に言って変えてもらったり......今も試行錯誤しながらやっています」
今のところ故障せずに足は順調に強化できている。そうした練習を続けてきたなかでの学生ハーフだった。総合順位は27位だが、タイムは、63分31秒で自己ベストを更新した。
「タイムは、自分的には今の状態だと合格かなという感じです。焦らずに春も今の状態で練習を続け、6月からは、みんなと同じ練習をやってタイムを伸ばして行きたいと思います。それまでは慎重にやる感じですね。今まで2年間を棒に振ってしまったので......」
この日、大量の花粉が飛んでいたようで、花粉症に悩まされている名取は目と鼻を真っ赤にして、そう語った。
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