箱根を走れなかった男・松尾淳之介が好走。
東海大が新シーズンへ弾み
東海大・駅伝戦記 第47回
今年の箱根駅伝往路優勝の立役者である相澤晃(東洋大/3年)が強さを見せつけて、トップ(61分45秒)でゴール。続いて中村大聖(駒沢大/3年)が入り、相澤から遅れること39秒後に松尾淳之介(東海大/3年)がゴールした。3月10日立川で行われた学生ハーフで総合6位、タイムは、62分24秒だった。
「くそっー」
思わず、悔しさが口からこぼれる。
「3位以内、自己ベストを狙っていたんですけどね」
表情は硬いまま、汗が額から落ちる。待機場所に戻る途中、他大学の選手と言葉をかけ合うが、表情から悔しさは消えない。松尾自身は納得できていないのだろうが、結果は学内最上位になり、箱根を沸かせたランナーたちとガチンコのいい勝負ができた。
3月10日に開催された学生ハーフで学内トップを記録した松尾淳之介 ようやく松尾らしさが戻ってきた。
昨年、松尾にとっては苦しい1年だった。2018年の箱根駅伝で5区を走り、区間12位に終わってしまった。自分への不甲斐なさと申し訳なさから、レース後は茫然としていた。
「箱根の借りは箱根で返す」と3年生になって心機一転練習に取り組んだが、関東インカレなど大会では本来の走りを出せずにいた。だが、7月のホクレン・ディスタンスチャレンジ深川大会の5000mで13分54秒65の自己ベストを出すと、調子が上がってきた。
そして「さぁこれから」という時だった。
8月、夏合宿中に故障し、その影響で出雲駅伝、全日本大学駅伝と出場がかなわなかった。箱根駅伝に標準を合わせて気持ちを切り替え、コンディションを上げていくと両角速(もろずみ・はやし)監督から「8区を任せる」と言われた。ところが本番前、右の大腿骨に痛みが生じ、直前に小松陽平(3年)と入れ替わった。
「走れてはいたんですが、監督に『足が痛い』と伝えました。8区の予定だったんですけど、痛みが取れなくて......その時点で、使ってもらえないなっていうのを感じ、箱根本番の数日前に小松と代わりました。悔しかったですけど、区間新の走りをされたら交代も仕方ないなって思いましたね」
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