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箱根を走れなかった男・松尾淳之介が好走。
東海大が新シーズンへ弾み (4ページ目)

  • 佐藤俊●文・写真 text&photo by Sato Shun

 もともとポテンシャルが高い選手。チームの練習に戻り、故障さえしなければ間違いなく箱根に絡んでくる。学生ハーフの結果が箱根に影響するというジンクスが続くのであれば、名取も来年、箱根を走る選手になるだろう。

 今シーズン、苦汁をなめたふたりの選手が結果を出したが、両角監督は厳しい表情で開口一番こう言った。

「まったく物足りないですね」

 レース後、松尾と長時間にわたり話をしており、全体ミーティングでも15分以上、話が続いた。1年前と異なり、昨年よりも全体のタイムは上がってい、各選手の力上がっている。それゆえ今回走った西田(32位/6347秒)、中島(29位/6344秒)にはもっと期待していただろうし、1、2年生は2月に合宿をしてきたなかで、その成果を示すことが求められた。

 だが、なんとか結果を出したのは41位で自己ベスト(6356秒)を出した米田智哉(2年)と、今年の箱根メンバーに入っていた鈴木雄太(2年/49位/6409秒)ぐらいだった。

「松尾は箱根を走れていないですし、今までしっかりとトレーニングをしてきたので結果を出さないといけない。名取は昨年、故障があって別メニューで続けてきているなかで、結果としてはまぁまぁですけど、彼のポテンシャルを知っているのでまだまだです。箱根以降、インフルエンザになったり、故障者が出たり、(選手たちの)足並みが揃わなかった。優勝してちょっとのんびりしたムードで来てしまったのもある。春からは引き締めてやっていかなければと思っています」

 両角監督の厳しさは、選手が力を出し切れていないがゆえの歯痒さなのだろう。

 全体ミーティングが終わって選手は帰り支度を始めた。ファンが両角監督を始め、選手に写真撮影やサインを求めている。昨年の今頃にはなかった光景だ。監督と選手の知名度が上がり、応援してくれるファンが青学大や東洋大のように増えている。これは箱根景気のひとつだが、チーム自体は箱根以降、故障者が出てスローダウンした。箱根優勝を経験したチームがこれからどんな変化を見せていくのか。

 新シーズンに期待が膨らむ――。

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