福岡で昨年の雪辱を期す神野大地。
「結果を出せば飛躍的に成長できる」 (3ページ目)
―― 来年9月のMGCはかなり厳しいレースになりそうです。
「もう18名の選手はMGC出場が決まっているので、たぶん最終的には30名ぐらいになるでしょう。(東京五輪代表に内定するのは)そこから2人なので熾烈な戦いになる。でも、僕はここまで東京五輪でメダルを獲得しようとトレーニングを積んできているんで、福岡でポンと結果が出て、そこで成長が止まることはないと思うんです。たぶん、福岡で結果を出せれば、ほかの選手よりはより早く階段を上って飛躍的に成長していけると思うんです」
―― まずはMGC出場を決めるということですね。
「勝負する、果敢に攻めるレースは来年の東京マラソンでやりたいと思っています。その時は先頭の第1集団に喰らいついていくレースを描いています。今回の福岡国際は、すごいタイムよりもMGC出場権を確実に獲ること。ここで獲らないと、これからの強化計画が狂ってくるので......」
神野をサポートする中野ジェームズ修一もレースの前々日に福岡入りする。昨年同様に疲労具合、フォームなどのチェックを行い、万全を期す予定だ。
「中野さんは、足や腰などを触って、ここはこのくらい張りが残っているとか、ここの部分はこのくらいの張りが残っている方がいいとか、僕の体の状態を完全に把握しているのでチェックをしてもらいます。前日とか疲労が抜けすぎていたら刺激を入れたりしてもらい、レース本番に備える感じです」
全幅の信頼を置く中野の存在は、神野にとって大事なコーチであり、セコンドだ。昨年の4月から本格的にマラソンのトレーニングを積み重ねてきた。中野の描く完成度にはまだ遠いが、それでも「走るために筋肉は十分ついた」と言われるところまでたどり着いた。
「昨年、中野さんは、最初は簡単にはうまくいかないことをわかっていたと思うんです。その時、『思うような結果が出なくても辛抱してやれるか、どうか。その時に自分についてきてくれるかどうか』ということを言っていました。僕は中野さんを信頼してやってきましたし、そろそろ結果が出る時期だと思うので、結果を出して中野さんをはじめ、僕をサポートしてくれる人たちの期待に応えたいと思います」
神野は、清々とした表情でそう言った。
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