東海大のエース、關颯人と館澤亨次が語る
「1500mからの箱根駅伝」 (3ページ目)
館澤はいま、その恐怖と闘っている。
しかし、それは勝者になったからこそ感じるもの。それを打ち破ることができたら、もうワンランク上の選手に成長することができる。現状打破のために、すでにフォームの改善などにトライしている。
「全体的な走りもそうなんですけど、ラストの切り替えのところですね。簡単にいうと自分はストライドを伸ばしてスパートをかけるイメージでいるんですが、海外の選手はピッチを上げてスピードを上げている。それにトライしているんですが、どうもしっくりこなくて......。自分のモノにできていないこともあるんですが、思い切って新しいやり方でいくのか、それとも今のままのフォームで戦っていくのか。自分の中でしっかりと答えを出してレースに集中していかないといけないですね。日本選手権までには覚悟を持ってやっていきたいです」
館澤は厳しい表情で、そう言った。
悩みを抱える館澤だが、両角速(もろずみ・はやし)監督は、それほど心配はしていない。
「館澤は今日負けた悔しさがあると思うけど、レースは勝ったり負けたりするもの。今は課題を意識してやっているし、結果は出てないですけど、私は悲観していないです。腹を括(くく)れば、一気によくなると思いますよ」
長年の指導の経験からだろう。館澤のように苦しむ選手はたくさん見てきている。そういう余裕が話しぶりからうかがえる。
はたして、館澤は今後、どんな決断を下すのだろうか。
「1500mについては、館澤も關も優勝争いに絡んだのでまずまずですね」
両角監督は、レースについてそう言った。
* * *
關はレース後、サブトラックでクールダウンを行なっていた。他の選手と話しながらインフィールドの芝でゆっくりとジョグしていた。待機場所に戻る間、高校生たちが求めるサインや写真に対応する。待機所に戻り、足にアイシングをして一息ついた。
關は今回、1500mにエントリーしていた。本来は5000mが主である。
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