【月報・青学陸上部】箱根を走れなかった男たち、それぞれの想い (7ページ目)

  • 佐藤 俊●文・写真 text by Sato Shun  photo by Nikkan Sports/Aflo


「今回の箱根では下田、田村和、貞永が走り、僕と吉永がエントリーされました。3年生が5名と今までで一番多く箱根のメンバーに絡めたので、学年を通して盛り上げることができたと思います。ただ、走ったのが3人ですからね。5人で走りたかったですし、それが来年の目標です。来年のチームは僕らの色に染めていきます」

 中村祐には2歳下の弟・友哉が1年にいる。昨年の秋から調子を上げ、「スピードランナーで質が非常に高い。今後が楽しみ」と原監督が絶賛している。中村祐も友哉がランナーとして自分たちの代に食らいついてくることを期待している。

「1年間で、あいつがどのくらい伸びてくるのかわからないですけど、理想は2人で箱根を走ることです。来年しかチャンスがないですが、その前にまず自分です。箱根の悔しさは箱根で晴らすしかない。その箱根を走るには無難じゃなく、爆発力がないとダメ。今年は東京マラソンからスタートして力をつけ、1年間頑張って、いい流れに乗って最後に箱根で借りを返せたらいいかなと思っています」

 補欠経験が多く、ここまで反骨心でやってきた。"悔しい経験"をまたひとつ重ねたが、これを最後にするつもりだ。

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 茂木、吉永、中村祐の3人以外では村井駿(4年)、林奎介(2年)、鈴木塁人(1年)が、エントリーされつつも箱根を走ることができなかった。鈴木は足を故障し、林は箱根を走る力が足りなかった。

 村井は留年し、昨春に卒部することも考えたがチームに残った。2、3年時に連続して6区を走り、昨年も6区を走るつもりで調整していた。しかし、箱根の2週間前に肺気胸になり、出走を断念。悔しくて涙が止まらなかった。あれから1年、今回も箱根を走れなかったが不思議と悔しさはなかったという。

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