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【月報・青学陸上部】エース一色恭志の
激走がチームに喝を入れた (2ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun photo by AFLO

 2月に東京マラソンを走り、2時間11分45秒で日本人3位という結果を残した。4月の世田谷区記録会では14分10秒とまずまずのタイムを出し、5月の関東インカレでは10000mこそ2位にとどまったが、5000mでは13分51秒15で優勝を果たした。つづく6月5日、自らの誕生日となった日体大記録会では5000mで13分49秒77を出し、タイムも調子も上がってきていたのだ。

「でも、ここ(日本選手権)では勝負。勝ちにこだわってやってほしい」

 そう原監督が望むまでもなく、一色自身もそのつもりだった。大きな大会では常に勝負を意識して、レ-スに挑んできた。関東インカレでは10000m と5000mにエントリ-し、「今シ-ズンは大学生には負けない」と勝負にこだわった。しかし、10000mでは駒沢大学の中谷圭佑にちょっとの差で敗れた。

「10000mは最後のところで仕掛けていくレースが理想で、実際その通りの展開になりました。でも、ラスト500mのところで中谷に前に出られて、その反応が1秒ぐらい遅れてしまったんです。そこでついていくことはできたんですけど、ラスト100mで追いつけずに負けてしまった。これは典型的な自分の負けパタ-ン。もっと早く仕掛けておけばよかったかなと思いましたし、中谷に勝ちたいという気持ちが欠けていた。まだまだ駆け引きがヘタくそだと思いました」

 関東インカレ10000mのレ-ス展開を反省し、気持ちを切り替えた一色は、2日後の5000mでは自分の負けパタ-ンを引っ繰り返すような圧巻の走りを見せた。ラストのホ-ムトストレートで創価大のムソニムイルを一気に抜き去るという勝負強さを見せたのだ。

「最後に勝ち切れないのが4年間ずっとありましたけど、5000mは最後の駆け引きで勝ち切ることができてよかったです」

 欲しかったタイトルをひとつ取り、タイムもまずまずだった。

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