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【箱根駅伝】上武大・花田勝彦監督「シード権獲得へ、かつてない手応え」 (3ページ目)

  • 加藤康博●取材・文 text by Kato Yasuhiro  村上庄吾●写真 photo by Murakami Shogo

 そしてもうひとり、上武大にはスペシャルな存在がいる。日本学生選手権1500m覇者の井上弘也(2年)だ。圧倒的なスピードが武器で、この種目ではすでに日本屈指の存在。だが井上も東同様、箱根には苦い思い出がある。

「前回は1区で19位。もちろん同じ区間でリベンジしたい気持ちはありますが、どこを走るにしても、チームの目標であるシード権につながる結果を残さないといけないと思っています。それがチームのためであり、自分のため。前回、箱根で失った自信を取り戻すためにも、結果が必要なんです」

 前回の箱根後、井上は負けた悔しさに打ちひしがれるだけでなく、同走した他大学のエースと力量差があったことを冷静に受け止め、それを埋めるために必要なことを考えながら1年間競技に取り組んできた。

「今季、スピード練習の質は格段に上がりました。そしてレースの運び方も変わったと思います。以前は自分の力を過信し、実力以上の結果を求めていましたが、今はレースの流れを見ながら、自分の力を出し切る最善の策を考えながら走れるようになりました」

 その特性を考えれば、主戦場はやはりトラック。そのことは本人も花田監督も認める。だが「長い距離は向かないのでは」という周囲の声への反骨心が井上を箱根へと突き動かしてきた。その変化を花田監督も感じ取っている。

「今年はロードでも安定感が出てきました。スピードランナーではありますが、箱根予選会も私の想定を上回る結果で走っていますし、計算が立つ選手になったと思います。今回は彼なりの思いを持って挑むことになりそうですが、東同様、こちらも私が楽しみにしている選手です」

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