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【箱根駅伝】「強すぎる」青学大はこうして生まれた (2ページ目)

  • 折山淑美●文 text by Oriyama Toshimi
  • photo by AFLO SPORTS

 2本柱を2区までに使った駒大にすれば、ここで2位に1分半は差をつけておきたいところだった。だが、1区で出遅れた早稲田大学には1分13秒差をつけたものの、東洋大には先行され、青学大とは同着。明大との差もわずか17秒と、ライバルに勢いをつけさせる結果になった。

 そのため駒大3区の準エース、中谷圭佑もリズムに乗り切れなかった。地力で区間賞は獲得したものの、後続を突き放せない。2位に上がってきた明大には18秒差と、完全に抜
け出すことはできなかった。

 駒大は4区でも工藤有生が好走し、明大、東洋大との差は開いた。だが青学大にはここで3秒詰められており、46秒差という微妙なリードしか取れなかった。駒大5区の馬場翔大は確実に山を上ってくれるという自信があったものの、青学大の神野大地がどういう走りをしてくるか、という不安もつきまとう状況になったのだ。

 一方、青学大の原監督は「6区が終わった時点で1分から1分半先行されていても、優勝のチャンスはあると思う」と、1万m28分台中盤の選手を2枚も置いた復路に自信を持っていた。

 その原監督が1区久保田の起用を決めたのは、攻めの作戦をとったからだ。スローな展開で進んでも、15kmを過ぎた六郷橋からのスパート合戦に対応できなければ1分程度の差をつけられてしまう。そこで高校時代には5000mを13分台で走り、明大・横手などとともに日本人トップ争いをしていたスピードランナーの久保田を起用した。

 その久保田からタスキを受けた2区の一色も冷静に走った。「今のチーム状況を見れば自分がエースだといえない」と言う一色は序盤、駒大の村山や東洋大の服部についていきたいという気持ちをあえて抑えた。

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