車いすテニス全仏オープンシングルス準優勝の上地結衣は、パリパラでの金メダルに向けてクレーコート対応を模索中 (3ページ目)

  • 荒木美晴●取材・文 text by Araki Miharu
  • 植原義晴●写真 photo by Uehara Yoshiharu

【日本人3選手もパリパラに向けて進化中】

 また、大谷は準決勝でデ フロートに3-6、2-6で敗れ、2度目の決勝進出はならなかった。大谷は「ディーデには負けたけれど、ハードよりもクレーのほうが戦いはしやすい。パリパラリンピックはクレーなので前向きにとらえて、どう調整していくかを課題にしたい」と言葉に力を込めた。

 大谷は昨年7月下旬、車を運転中にうしろから追突されて頸椎捻挫のケガを負い、一時休養を余儀なくされた。落ち着いて練習ができるようになったのは今年に入ってからだ。現在も復調途中にあるが、快方に向かっているといい、「最近はケガもあって試合に勝っても楽しいと感じられないことがあった。でも、今大会でようやくこの(トップの)舞台に戻ってこられたと実感できた。ここから、やっと前に進めそうです」と話し、最後は笑顔を見せた。

 なお、田中はホタッツォ・モンジャネ(南アフリカ)に、グランドスラム3大会目の船水はワイルドカードで出場したポーリン・デルレード(フランス)に1回戦で敗れた。田中と船水は、ともに昨年の全米オープン、今年の全豪オープンに続くグランドスラム3大会目。田中は「自分のテニスに集中しすぎて、うまくゲームにつながらなかった。ずっとトップ10にいる選手はここぞという場面でミスをしないし、集中力を発揮する。このローラン・ギャロスのクレーを経験できてよかったし、来年の全仏とパラリンピックに向けていい準備をしたい」と語った。

 ダブルスでは、上地はホタッツォ・モンジャネ(南アフリカ)とペアを組み、決勝でデ フロート/マリア フロレンシア モレノ(アルゼンチン)組を6-2、6-3で下した。上地の全仏オープンのダブルス優勝は2017年大会以来、4度目となる。また大谷は、イスカ・グリフェン(オランダ)と組んで初戦敗退。田中は、朱珍珍(中国)とのペアでベスト4。船水はダブルスも1回戦で敗れた。シングルス後は悔し涙を流していた船水は、「また気持ちを切り替えて頑張りたい」と話し、前を向いていた。

 来年8月のパリパラリンピックへ向け、車いすテニスの女子日本人プレイヤーたちは、それぞれ進化を続ける。

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