両足を事故で失ってもポジティブだったアダプテッドスケーターのフェリペ・ヌネス「『楽しみたい』気持ちが上回っていたんだ」 (3ページ目)

  • 瀬長あすか●取材・文 text by Senaga Asuka
  • 浅原満明●写真 photo by Asahara Mitsuaki

「何かにトライするとき、自分のなかで制限は設けていません。言い訳は一切なし。やるからには全力で挑戦します」

 以来、ヌネスはリスクのあるトリックにも挑戦。複数のスポンサーを得て、様々な大会に出場する。

「大会でヤバいと感じる瞬間は、自分の出番の直前です。みんなが声をかけてくれて応援してくれて、自分の中で競技に向かう気持ちが高ぶります。"プレッシャー"と"楽しむ"という気持ちの狭間にいるときが一番楽しいですね」

 健常者の大会のみならず、障がいのある選手の大会にも出場しているヌネス。スケートボードはパラリンピック競技に採用されていないが、実施されれば、その舞台での挑戦を目指すのだろうか。

「パラリンピックは障がいを持っている選手たちにとって、一般の人たちに自分たちの能力を見せる最高のプラットフォームだと思っています。スケートボードができるのであれば、健常者の大会と障がい者の大会のどちらがいいとか言うつもりもありません。今、僕は自分で掲げた目標のためにフリップなど高得点の技を磨いています。その目標は、障がいのあるブラジル人選手として史上初のオリンピック選手団に入ること。実現のためにはオリンピック出場のためのランキングポイントを稼ぐ必要があります。常に目標を掲げて進化していきたいと思います」

 可能性は未知数。ヌネスの走りと言葉にはポジティブなメッセージが詰まっていた。

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