リオパラ金のエリー・コール。東京パラへ向けて「今、伝えたいこと」 (3ページ目)

  • 瀬長あすか●取材・文 text by Senaga Asuka
  • photo by X-1

 かくして、初めてパラの大会に挑戦したエリーだったが結果は最下位。意気込みすぎたのか、スタートの飛び込みでゴーグルが外れてしまったのだ。「ゴーグルをつけて泳ぎ直したから最後になっちゃって。帰り道に泣きながら『二度と負けたくない』って思ったわ」

 エリーは自身を"負けず嫌い"と表現する。「もしかして初めての大会でビリだったあのとき、競争心が生まれたのかもしれない」

 その日を境に練習量を増やし、パラ水泳のオーストラリア代表として、世界大会にも出場するようになったエリーは、最大の"目標"と出会う。

 南アフリカのナタリー・デュトワ。パラリンピックの水泳で金メダルを量産しながら、北京大会ではオリンピックにもオープンウォーターで出場したパラリンピック界の超人だ。

「ナタリーはすごい人だけど、勝ちたかった。12歳の時からずっと。目標でありライバル。だって、彼女が世界記録をすべて持っていたから」

 2008年北京パラリンピックで銀メダルだったエリーは、AIS(オーストラリア国立スポーツ研究所)に練習拠点を移し、オリンピック選手と同じ環境で水泳漬けの日々を送った。

 迎えた2012年のロンドン大会。必死で練習したエリーの努力は実る。100m背泳ぎや100m自由形で4つの金メダルを含む6つのメダルを獲得。みなぎる自信とエネルギー、そして選手を盛り上げた観声の「すべてがパーフェクトだった」と振り返る。

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