2019.01.30

リオパラ金のエリー・コール。
東京パラへ向けて「今、伝えたいこと」

  • 瀬長あすか●取材・文 text by Senaga Asuka
  • photo by X-1

 片足のスイマー、エリー・コール。ロンドンパラリンピックで金4個を含む6個のメダルを手にし、リオパラリンピックでも100m背泳ぎで金メダルに輝いた水泳大国オーストラリアのエースだ。

 とにかく明るくて、日本好き。若い選手にも水泳のアドバイスを惜しまないエリーは、日本のS9クラス女子選手の憧れの対象である。

パラ水泳界の第一線で活躍するエリー・コール 彼女の最大の特徴は、その美しい泳ぎだ。左前腕欠損の国内トップ選手で、リオパラリンピックでエリーとともに泳いだ経験のある森下友紀は、エリーの動画を見て泳ぎの研究をしていると言う。同じ大腿切断で若手有望選手の浦田愛美らは「まるで障がいを感じさせない」と口をそろえる。

 バランスよく泳ぐ技術に秀でる彼女の強さはどこで生まれたのか――。WOWOWパラリンピックドキュメンタリーシリーズ『WHO I AM』のプロモーションで来日したエリーに聞いた。

 生まれ育ったのは、カフェ文化が根付くメルボルン。そんな街から少し離れた山とワイナリーが広がるモーニントン島ペニンシュラだ。

「父が作ったログキャビンに住んでいたの。そこに母が手作りした、きれいなステンドグラスの窓があって、双子の妹と過ごした二段ベッドがあって。父は厳しかったけれど、母がいつも家にいてくれた。優しい母だったわ」

 陸上選手だった父と水泳選手だった母を持ち、妹は後に射撃の選手になった。スポーツ一家に生まれ育ったエリーが世界で活躍するスイマーになるのは必然だったのかもしれない。

「子どもの頃の記憶は、学校から帰ってくるとほとんど毎日泳ぎに行っていたことばかり。とにかく泳ぐことがすごく好きだった。オーストラリアはみんな海沿いに住んでいるから泳ぐことがごく身近にあるの。幼いころからスイマーになりたいと思ってなったわけではないわ」