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井上雄彦が見た車いすバスケ
男子世界選手権。日本は予選1位の快挙! (2ページ目)

  • 井上雄彦●取材・文市川光治(スタジオ光)●構成・文名古桂士、伊藤真吾(X-1)●撮影・文

8月18日【GAME2】トルコ戦
欧州No.1のトルコの対極にある、日本のバスケットを試そうと挑んだ日本代表。トルコは高さを生かしてハーフコートのバスケットを何度も何度も押し通してくる。日本はオールコートで速いバスケットを作る。トルコの応援に囲まれた完全アウェーの雰囲気をものともせず、我々の代表は会心のゲームをやり切った。67-62。欧州王者に勝利。思い通りにいかない展開にトルコの選手たちは次第にフラストレーションを募らせ、試合後は握手すらせずにコートを去った。

「トルコに勝つことが東京でメダルを獲ることにつながる」と及川HCはこの1試合については満足げな表情を見せた。「いろんな手段で自分たちを痛めつけにくる相手。傷つき、侮辱される闘いになる。そんな闘いをリアルに経験し、そんな相手に自分たちのバスケットをやり続け、相手の好きなことをやらせない。そのために準備した戦略を実行する」

 それがこのチームにとっての「闘争心」の形なのだ。

 及川HCとチームが描いている絵はだんだんとその姿を現してきている。それは、他の強豪国とは違う日本独自のバスケットを世界の舞台でやりきること。日本が世界に合わせるのじゃない、世界が日本のバスケットに合わせる、そういう絵だ。日本は日本のバスケットを長い年月をかけて準備してきた。それが先日のMWCC(三菱ワールドチャレンジカップ)優勝に、そしてこの世界選手権につながっている。

 ただその先へ向けて、まだまだ伸びしろはある。例えばフリースローのミスはもっと減らしたいところだ。前半14分の5、後半8分の3、計22分の8の成功では勢いがなかなか生まれない。さらに、荒れたこの試合、トルコはテクニカルファウルやアンスポーツマンライクファウルを連発するが、日本は手にしたチャンスをことごとく逃し、得点に結びつけることができなかった。息の根を止める機会を何度も見送っていたら、次は相手が息を吹き返す番になることは肝に銘じておく必要がある。

日本67-62でトルコに勝利。

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