始めて半年で国際大会優勝。パラ陸上に現れた超新星、井谷俊介はまだまだ伸びる (4ページ目)

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 五十嵐和博●写真(人物) photo by Igarashi Kazuhiro

 仲田氏は日本屈指のスプリンターの山縣亮太や福島千里も指導しており、「最高のお手本」とともに練習ができるのも井谷の強みだ。「走りはもちろん、考え方も含めて、『一流』。すべて参考になります」

「恵まれた環境」にあることに感謝し、最大限に活かしたいとカーレースへの思いはいったん封印し、今は陸上競技に一直線だ。吸収できることは貪欲に、「陸上選手としての経験を、しっかり積みたい」と前を見据える。右肩上がりの成長ぶりを見せる井谷の最大の目標は、2020年東京大会でのメダル争いだ。

 だが、例えば、リオパラリンピックで井谷のクラスの100m優勝タイムは10秒81。自己ベストからは1秒以上も開きがある。まずはアジア記録(11秒77)の更新。さらには、11秒台前半から、アジア人義足アスリートとして初の10秒台も視野に入れる。そうすれば、2020年への展望も開けると意気込む。

「陸上については経験が少なすぎて、自分ではまだ評価なんてできません。でも、事故に遭って以降、人の温かさに触れ、『自分でなく、喜んでくれる人のために勝ちたい』と思うようになったし、走ることで障害のある人に勇気を与えられる存在になりたい。全力で頑張ります」

 8月下旬に発表された、10月にジャカルタで開催されるアジア・パラ競技大会の代表選手名簿には、井谷も名を連ねた。万全の状態で走れたときの、その伸びしろは計り知れない。2年後に迫る世界最高峰のレースへのステップとして、まずはアジアでその実力を示すつもりだ。

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