記録は世界3位。五輪出場を目指す
義足のジャンパーの意志はブレない
空前絶後の記録を残した今シーズン
パラ陸上走り幅跳びのマルクス・レーム(30歳/ドイツ)は、"健常者アスリート"に勝利して2018年シーズンを終えた。
9月8日にリヒテンシュタインで開催された陸上競技大会『Golden Fly Series』の男子走り幅跳びで、健常者アスリートに混じり、レームは8m14をマークし、同大会3連覇を果たしたのだ。
今シーズンも大ジャンプを見せたマルクス・レーム 試技を行なった6名の選手の内、パラアスリートはレームのみ。同大会は町中の通りに即席の競技場を作り、観客から至近距離で跳躍を行なうという特殊な環境であるため、記録に多少の影響を与えた可能性はあるものの、唯一8m台に乗せての優勝。レームに敗れ、2位となったザーク・ヴィサー(南アフリカ)は、今季8m40をマークしており、国際陸上競技連盟(IAAF)が発表する世界ランキングで8位につける選手だ。
しかし、レーム本人にとっては、驚くべき記録というわけではない。7月8日に来日して出場した、『ジャパンパラ陸上競技大会』では8m47を出し、8月20日から26日まで、ドイツ・ベルリンで開催された『パラ陸上欧州選手権』で8m48(ともにT64クラス/下腿義足使用)を出した。
いずれも最終6回目に打ち立てた記録だ。欧州選手権での記録は、2012年ロンドン五輪、2016年リオ五輪における同種目の優勝記録をそれぞれ17センチ、10センチ上回るもの。単純比較はできないとはいえ、上述の世界ランキングでは、フアン・ミゲル・エチェバリア(8m68/キューバ)、ルボ・マニョンガ(8m58/南アフリカ)に次いで、単独3位相当となる快記録である。
パラ陸上競技アスリートの中で、走り幅跳びで8mを超える選手は、現在に至るまで彼ひとりである。
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