【車椅子バスケ】群雄割拠の日本選手権。優勝候補はここだ! (3ページ目)

  • 斎藤寿子●取材・文 text by Saito Hisako
  • 越智貴雄●写真 photo by Ochi takao

 激闘の末に、勝利を収めたのはホークスだった。最後の第4Q、高さを生かした布陣でMAXを引き離し、50-41で大会初優勝を遂げたのだ。聞けば、ホークスがMAXから勝利を挙げたのは9年前、06年の日本選手権以来のことだという。チームにとって、悲願と言ってもいいだろう。ところが、試合後のホークスには、勝利の喜びに湧く様子は一切見られなかった。その理由のひとつは、「本番は日本選手権」ということもあっただろう。だが、それだけではない。実はMAXのエース、藤本怜央が不在だったのだ。

 藤本怜央。今や国内のみならず、世界の車椅子バスケットボール界において、この名を知らない者はいないと言っても過言ではない。車椅子バスケットボールには、各選手に障害の度合いによって1~4.5の8段階の持ち点があり、コート内の5人の合計が14点以内というルールがある。藤本は、最も状態の良い4.5の選手で、体幹も足の踏ん張りも利く。しかも体格にも恵まれている。高さとパワーを武器とする国内随一のセンタープレーヤーである彼は、MAXのエースであり、日本代表の大黒柱である。

 その藤本は今シーズン、初めてMAXを離れ、ドイツのリーグに参戦した。加入したハンブルガーSVでも主力として活躍し、チームがユーロリーグのファイナルに進出したため、帰国が関東カップに間に合わなかったのだ。

"藤本のいないMAXに勝てずして、日本選手権での優勝はない"

 ホークスにとって、関東カップは負けることが許されなかったのだ。杉山浩ヘッドコーチはこう語る。

「もちろん、(関東カップでの)優勝は自信につながります。でも、やっぱり藤本のいるMAXを破ってこそですよ」

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