寺崎浩平のオールスター競輪でのGⅠ初優勝で見えた固い絆 2着・古性優作の「悔しいけどうれしい」の真意と競輪の深淵とは (2ページ目)
今年2月のGⅠ「全日本選抜競輪」では脇本の前を走って優勝を見届け、6月のGⅠ「高松宮記念杯競輪」でも脇本、古性の前を走ってそのふたりのワンツーフィニッシュをサポートした。そして今開催の準決勝でも古性の前を走り、ともに決勝進出を果たした。
準決勝直後に、そのふたりから「今回はハコを回れ」と告げられた。つまり脇本が先頭を走り、その後ろに寺崎が入るという意味だ。さらに近畿勢が4車連結することになり、強力なラインを形成。なかでも寺崎が最も優勝に近いと目されていた。
寺崎は「このチャンスをものにしたい。追走してゴール前で勝負をしたい」と意気込んで大一番に臨んだ。
6度目のGⅠ決勝進出となった寺崎 photo by Takahashi Manabuこの記事に関連する写真を見る
【見事な連係で近畿勢が上位独占】
近畿勢にとって気がかりだったのが、太田海也(岡山・121期)と岩津裕介(岡山・87期)の岡山コンビと、吉田拓矢(茨城・107期)と佐藤礼文(茨城・115期)の関東勢の動き。とくに爆発的なスピードを持つ太田と、5月のGⅠ「日本選手権競輪」を制した吉田は要注意選手だった。そのため何としても先手を打つ必要があった。
まず号砲とともに古性が動く。ケガの影響で「右肩に力が入らず人形みたいにグラグラ」の状態ながら、「全力で取りにいった」と先頭に立つ。そこに他の近畿勢が追いつき、脇本、寺崎、古性、南の順で前団を占拠。寺崎は「すんなり(自分たちが)前に入れるとは思わなかった」と理想的な並びとなった。
残り2周となったところで、先頭を走る脇本が一気にスピードアップ。その動きに「あれだけ脇本さんがふかした(ペースを上げた)ので、かなり脚力を使ってしまった」と古性。寺崎も「体感したことのないペースだった」と面喰ったが、「脇本さんから離されないように後輪だけに集中した」とピタリと追走。後ろから迫る太田、吉田らを古性、南がけん制することで、同じ並びのままラスト1周に入る。
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