パールカップは佐藤水菜が完勝「本当は1周半駆けたかった」と悔しさを明かすも、偉業のグランプリスラムに王手 (3ページ目)
【追随を許さぬ飽くなき向上心】
「自分の思うようなレースができて、有意義な3日間でした」
そう総括した佐藤は、これで4度目のGⅠ制覇。自身が持つ最多記録を更新するとともに、昨年の競輪祭女子王座戦、今年4月のオールガールズクラシックから続くGⅠ連勝も3に伸ばした。兼ねてから目標に掲げてきたグランプリスラム(※)も、あとは新設されたGⅠ開催「女子オールスター競輪」を残すのみ。それどころか、前代未聞の単一年でのグランプリスラム達成さえも視野に入ってきた。
※すべてのGⅠ開催とガールズケイリン最高峰のレース「ガールズグランプリ」で優勝すること
「練習で仲澤に負けていて、危機感を持って臨んだ」という佐藤だが、レース後、その仲澤は「力の差を感じすぎていて、どうすればいいかわからなかった」と呆然のコメント。さらに2着の尾崎も「一瞬だけ夢を見ましたけど、最後に(佐藤は)タレるどころか上がっている」と、段違いの脚力に脱帽した。
これだけハイパフォーマンスを続ければ、大舞台では当然マークされ、研究もされる。それでも佐藤が勝ち続けられるのは、情熱を持って理想を追っているからに他ならない。
競輪祭女子王座戦、そしてオールガールズクラシックでも一貫して「見ていて強いと思わせるレース」を目標に掲げ、この日も「本当は(ラスト1周からではなく)1周半駆けたかった」と、理想を口にした。誰よりも厳しい目で自身と競輪に、そして自転車競技に向き合っているからこそ、今後への展望を問われても「日本全体でもっとレベルアップしていかないといけない」と、一切の満足を感じさせなかった。
このままの勢いで全タイトルを獲りきるのではと思わせるだけのすごみをまとった佐藤。彼女が今、ガールズケイリンの歴史に残る一時代を築いているのは間違いないが、それでも尾崎が準決勝後に語ったように、「力の差があっても勝負できるのが競輪」とつけ入る隙は必ずあり、他の選手たちも佐藤の牙城を崩すべく執念を燃やしている。
次のGⅠ開催は8月8日(金)~10日(日)の「女子オールスター競輪」。佐藤の偉業達成か、それとも佐藤を攻略する選手が現れるのか。今後もガールズケイリンから目が離せない。
グランプリスラムを目標に掲げる佐藤 photo by Photoraidこの記事に関連する写真を見る
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