パールカップは佐藤水菜が完勝「本当は1周半駆けたかった」と悔しさを明かすも、偉業のグランプリスラムに王手 (2ページ目)
一方の西日本予選でも、佐藤と同じくナショナルチーム組であり、ジャパントラックカップのスプリントで銅メダルを獲得した仲澤春香(福井・126期)がGⅠ初出走ながら存在感を放った。初日こそ2着に甘んじたものの、準決勝では果敢なレース運びで1着。22歳の竹野百香(三重・124期)と共に初のGⅠ決勝という大舞台に進出。出走表はフレッシュさを感じる顔ぶれとなった。
迎えた決勝。少し影も長くなり始めた16時30分、岸和田競輪場にスタートの号砲が鳴り響くと、前日会見で「GⅠの決勝で先行するために練習してきた」と言葉に力をこめた奥井迪(東京・106期)が宣言どおり先頭を切り、直後に仲澤が続いた。
内側の1番車でスタートした佐藤がそのふたりを眺めるように隊列に入ると、外側に竹野が並ぶ。佐藤は「勝負どころ以外では絶対にどかない」と強気の姿勢でポジション争いを続け、長時間の並走状態に。他の選手たちは皆、圧倒的な力を誇る佐藤を意識しながら虎視眈々と上位を狙っていた。佐藤は1番車・白(写真中央)。並走するのが4番車・青の竹野 photo by Photoraidこの記事に関連する写真を見る
残り2周。様子を見合って開いていた車間も打鐘を受けて徐々に詰まり、全体がスピードアップする。残り1周、ついに佐藤が動く。風の抵抗を鑑み、一段と沈み込んだ姿勢でグングン伸びて先頭へと躍り出ると、そこに尾崎睦(神奈川・108期)が食らいつき、後方から梅川風子(東京・112期)も追い上げる。
先頭に出た佐藤は低い姿勢で加速 photo by Photoraidこの記事に関連する写真を見る バックストレッチでは2車身ほど抜け出していた佐藤だが、後方選手の追走もすさまじく、3コーナーでついに尾崎に追いつかれた、かに思われた。しかし世界水準の女王には、もう1段階ギアが残っていた。すがる尾崎も、内側から抜きにきた竹野も置きざりにする鬼気迫るスパートで決勝線を駆け抜けると、佐藤は力強く左の拳を掲げた。
ゴール後にガッツボーズ photo by Photoraidこの記事に関連する写真を見る
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