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松山恭助を襲ったパリ五輪本番前のアクシデント 団体戦までの3日間「ズタボロだった」状態で考えたこと (4ページ目)

  • 折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi

男子フルーレ団体で初の金メダルを獲得。左から2番目が松山 photo by JMPA男子フルーレ団体で初の金メダルを獲得。左から2番目が松山 photo by JMPAこの記事に関連する写真を見る――金メダルを獲れなかったら日本に帰れない、という思いで戦った団体戦ですが、戦い終えたあとはどんな思いでしたか。

 団体で勝ったからこそ、個人でダメだった悔しさが逆に出てきましたね。ただ今回に関しては団体で金メダルを獲れたので、個人がどうだというのはもういいかなと思うし、次へのお預けだと考えています。

 ただ、次の五輪にはもっと実力的にも盤石な状態で臨みたい。今回は数字的にはわりと盤石なところで五輪を迎えられたけど、実力で考えると少し......。(個人戦も)調子がよければ本当に優勝もメダルも可能だったと思うけど、ちょっと調子が悪いとまだベスト8や16で負けてしまう実力だなと客観的に振り返って思いました。その地力を上げていくことができれば、次のロサンゼルスはチャンスがあると思うので、そういう積み重ねかたを1年1年やっていきたいと思っています。

――パリ五輪の日本フェンシングの躍進はどう分析しますか。

 以前は五輪に出場するのが目標でしたが、それがいつしか通過しなければいけない場所という雰囲気にみんながなってきました。そのうえで本当にメダルを獲る戦いができる選手が増えてきたこが大きいと思います。今回はみんながメダルを獲りにいく意識を持っていて、その目標のもと、何年間も積み上げてきていました。実力もないといけないし巡り合わせも必要だけど、その辺が噛み合った瞬間だったと思います。

――これからもフェンシングを続けていくうえで、次はどんな目標を持っていますか。

 五輪2大会連続金という大きな目標はありますが、その前のものとして今一番考えているのは、個人戦でのグランドスラムを達成するという目標です。世界選手権、アジア選手権、グランプリ、ワールドカップ、五輪の個人での金メダル。全部メダルは持っているけど、3位も多いので。アジア選手権とワールドカップはもう達成しているので、残りの世界選手権とグランプリと五輪。もちろん難しいことだとは思いますが、それを生涯で達成したいですね。

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