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藤澤五月の世界一のショット率もお膳立て。日本中のトップ選手たちが「メダル獲得の立役者」吉田夕梨花を絶賛 (2ページ目)

  • 竹田聡一郎●文 text by Takeda Soichiro
  • photo by JMPA

 たとえば、準決勝のスイス戦の6エンド。先攻の日本は吉田夕が1投目、ハウス内にほぼ完璧なドローを決めた。3点リードの日本としては相手に1点をとらせる"フォース"をさせたいエンドだったため、サードの吉田知那美がヒットロールなどで相手の石を減らしながら、相手にプレッシャーをかけることにも成功していた。

 そして迎えたスキップ・藤澤の1投目。狙いのショットは、吉田夕が最初に投じたショットとまったく同じラインでのドローだった。

「リードとスキップが似たショットを投げるのは、カーリングではよくあることです。特にこのエンドは、ターンもパス(通り道)もウエイト(速さ)も同じでしたから、藤澤選手はアイスの変化にだけ気をつけて、吉田夕選手とほぼ同じ情報で投げればよかった。自信を持って投げているように見えました。

 ゴルフのグリーン上で、あとから打つ人が前の人のラインを参考にして決めるシーンがよくありますよね。それと同じで、パットのラインや芝目がわかるみたいなものです」(両角)

 現に藤澤は吉田夕から得た"芝目"などの情報によって、同じラインのドローを確実に決めた。続くスイスは難しいショットを選択することとなり、最終的にそのエンドは日本がスチール。決勝進出に大きく近づいた。

 両角が続ける。

「吉田夕選手は、続く8エンド、10エンドでも簡単ではないウィックを4本、完璧に決めています。これによって、センターラインが大きく開いて、藤澤選手が投げやすくなりました。吉田夕選手は明らかに藤澤選手のショット率をサポートしていますし、エンドセーブという意味でも大きな役割を果たしました」

 エンドセーブとは、カーリングでは「そのエンドを最低限のタスクで進行する」といった意味合いだ。

 両角の言うスイス戦の8エンド、10エンドであれば、複数点を得るのが理想だが、厳しければ、ブランクエンド、最低でも1点加点が最低限のタスクとなる。逆に、スチールだけは許してはいけない場面だった。

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