競輪・中野慎詞がデビューから圧巻の6戦全勝。S級入りの18連勝を目指し「勝ち方にもこだわりたい」 (2ページ目)
「もちろん自分自身も勝ちたいですし、勝ちにいきますが、一方でレース前に"絶対に勝たなければならない"というふうには考えないようにしています。養成所の時から自分はやれるだけやってきましたし、これだけやってきたのだから、あとはなるようにしかならないと思うからです。自分の今持っている以上の力は出せません。この気持ちの持ち方は、学生の時から同じなんです」
簡単に勝たせてくれる世界ではないことを痛感したデビュー戦。以後は一戦ずつ確実に勝利を積み上げることだけを目指している。その先にプロとして最初の目標がある。
「競輪選手にはランクがあって、まずS級とA級の2つに分かれます。そこからそれぞれ3つの班に分けられて、6つの級班(ランク)で区分されるんです。最初はA級3班からスタートし、自分もそこにいます。
通常は年に2回、そこまでの成績に応じて級班の入れ替えが行なわれるんですが、3回(3開催)連続で完全優勝すれば特別昇班でA級2班に、さらにもう3回連続で完全優勝すればS級2班に特別昇級することができます。18連勝すればS級に行けることになる。この18連勝しての"特昇"が今の自分の目標です」
「目の前のことに集中したい」と語る中野慎詞 自分なりの勝ちパターンを模索し、作り上げたいという思いもあるが、今は戦況を見ながら確実に勝てるところで仕掛ける戦いに徹している。しかし一方で「早期卒業」という異例の形でプロの世界に飛び込んだだけに、中野は「今後は勝ち方にもこだわっていきたい」というプライドも胸に秘める。
6戦を終え、師匠である佐藤友和と戦い方について振り返る機会を設けた。そこで師弟関係を結んで以来、言われ続けてきた言葉を、再度かけられた。
「ずっと言われていることなのですが、今回も"競輪を楽しむように"と言われました。競輪が人生のすべてではなく、人生のなかに競輪がある。プロの世界は1日目失敗しても2日目に修正できるし、2日目ダメなら3日目がある。たくさん失敗して、たくさん経験しなさいと言われました。
自分は集中すると自分を追い込みすぎてしまうところがあるので、その性格を知ったうえでのアドバイスだと思います。ここで再度、"楽しむことを忘れないようにしよう"と確認できたことはよかったです」
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